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プロ野球PRESSBACK NUMBER
元西武・辻発彦が明かす“一軍監督の苦悩”とは? あの中村剛也に命じた二軍行き、“走らない”森友哉への叱咤…「意地になっちゃう時もある」
posted2022/12/22 11:02
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
Yuki Suenaga
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名だたる名将のもとで野球を極め、2017年に満を持して誕生した「辻監督」。ヤクルト、横浜、中日で指導者経験は積んでいたが、いざ監督になると選手との距離感は大きく変わったという。
「自分としてはコーチ時代と変わらない気持ちでしたが、選手にとっては違うんですよね。コーチの時みたいにもっとフランクに来てくれよ、って少し寂しい思いもありました」
17年就任時…気づいた「チームの穴」とは
監督を引き受けた西武は前年まで3年連続Bクラス。21年ぶりにユニフォームに袖を通した古巣は岐路に立たされていた。
「僕の原点はライオンズですから。常に優勝争いをしてパ・リーグの盟主であってほしい。セ・リーグのコーチ時代もずっと気になっていたんです。当時の主力は中村(剛也)や栗山(巧)、浅村(栄斗)、秋山(翔吾)らがいて、若い選手も育ってきていた。なんでこれだけの選手が揃って勝てないのか……。一番の穴はショートでした。理想はやはり、ピッチャーを中心にセンターラインがしっかりとしたチーム。計算できる守りがあってこそ戦える」
前シーズンの101失策は12球団ワースト。立て直しが急務だった守備面の期待を背負い、ドラフト3位で入団してきたのが源田だった。とはいえ当初、周囲の源田評は“守備は固いが打撃はまだまだ”。未知数のルーキーに期待してもいいのか――。そんな不安は、春季キャンプで吹き飛んだ。
「守備練習を初めて見たとき、これは間違いなく使える、と思いました。目をひいたのはスローイングの安定性です。捕る形も良く、フットワークを使って素早く正確に送球できるところが素晴らしかった。守りは十分いける、打つ方もやっていればそこそこ成長するだろうという直感がありました。細くても体は強かった。僕だって現役時代は細身でしたから。1年間戦うのは大変だけれど彼ならば……と」