もちろんチームとして一番簡単な方法は3月7日のオリックスとの強化試合で組んだように、好調の吉田を4番に上げて、村上の打順を下げることである。唯一、村上を4番から外すチャンスがあるとすれば一発勝負に入る16日の準々決勝のイタリア戦だが、おそらく栗山英樹監督はそうはしないだろう。イタリア戦も4番・村上で臨むことになるはずだ。

　打撃に少し上向きさを感じたのはオーストラリア戦だった。第1打席でこれまで見られなかったいい角度で打球が上がった中飛が出た。第4打席では逆らわずに左方向へ鋭い打球で放った左前安打も出てきている。

1次ラウンドすべての試合で先発4番の村上。14打数2安打、打率.143と好調な打撃陣の中でバットは湿りがちだ… ©︎Naoya Sanuki

　外国人審判によるストライクゾーンの違いや目の前の大谷のあまりの凄さに、力みかえっていたところも今回の不振の遠因にあると言われるが、何より必要なのは大事なところで単打でもいいから1本出ることだ。

「これからが勝負。打てなかったことは反省しているけど、前を見て結果としてチームが勝てるようにしていきたい」

　そんな惨状の中でこう語る村上もチームの勝利に貢献できる一打が出ればガラッと変わるはずだし、その期待があるから栗山監督も「4番・村上」にこだわり続けるのだろう。

3）遊撃問題「源田の復帰はあるのか」

「投手力を中心にした守りの野球」を掲げる栗山監督にとって、その守りの要だったのがセンターラインの遊撃を任せる源田壮亮内野手である。

　その源田が右手小指を骨折したのが韓国戦だった。3回に二塁走者としてけん制で帰塁した際に痛め、4回の守備から退いた。検査の結果、右手小指の骨折が判明した。

　代わりにショートの守備に入ったのが中野拓夢内野手である。ただ中野は今季から阪神を指揮する岡田彰布監督が「ショートからのスローイングに問題がある」と二塁へのコンバートを決断した選手である。

　そして代表の試合で、その岡田監督の心配が的中してしまった格好だ。

　先発したチェコ戦では1回にいきなり一塁への悪送球で先制を許してしまった。ただでさえスローイングに不安がある上に、大会で使用するメジャー球は滑りやすく、野手の送球も抜けやすい。チェコ戦でボールがそれる悪送球をして以降は、本人もボールを抑えることに注意を払っているために、今度はワンバウンドでの送球が多くなっている。

韓国戦で負傷した源田にかわりショートを任されている中野　©︎Naoya Sanuki

　準々決勝を勝ち抜き、米国に渡れば準決勝と決勝の舞台となる米・フロリダのローンデポ・パークは天然芝球場になる。さらに守備の難易度が上がり、中野の守備力が一つの不安材料になる可能性がある。

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