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村上宗隆の”4番問題”など…WBC侍ジャパン気になる3つの課題「打てなかったことは反省してるけど」「栗山監督は4番・村上にこだわる」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/03/15 17:33
WBC1次ラウンド4試合すべてで4番先発した村上宗隆。準々決勝以降、4番の重責を果たせるか…
どの球種も同じ質を保ちながら、投げミスをしない。その正確性こそが1球で勝負の決まるクローザーにとって生命線でもある。昨年の大勢は勢いがあったことで、多少再現性が落ちても相手を抑えることができた。ど真ん中の失投も、ボールに力があるから相手打者が打ち損じて凡打になった。
ただ、日本人の打者は力で押し込めたが、これから対戦するメジャーリーガーにどこまでその勢いが通じるのか。そこで求められるのが、栗林が示してくれたより高い再現性であり、より正確な制球力になるのである。
「1球1球勝負する、思い切って勝負する気持ちで投げるんですけど、その1球1球を精度の高いものにしたいと思います」
イタリア戦での抑え登板に向けてこう語った大勢。ミスが許されない戦いの中で、どれだけ精度の高いボールを投げ切れるか。そこが一つ、日本の勝利へのカギとなりそうだ。
2)4番問題「栗山監督は4番・村上にこだわる」
1番のラーズ・ヌーとバー外野手から2番・近藤健介外野手、3番・大谷翔平投手、そして5番の吉田正尚外野手と上位の4選手がいずれも4割以上のハイアベレージを叩き出しているのが、1次ラウンドの日本打線だった。
ただ、だからこそ余計にその中で打率1割4分3厘とスランプに喘ぐ4番・村上宗隆内野手の姿がクローズアップされてしまう。
そもそも今回のチーム編成の中で1つのポイントとされてきたのが大谷の後ろを打つ打者だった。当初は大谷を2番に置いて、3番には鈴木誠也外野手というのが基本形だったが、その鈴木が左脇腹の故障で出場辞退となって打線の組み替えを余儀なくされている。そこで強化試合から好調だった近藤を2番につなぎ役として入れ、大谷を3番に据える打線が新たに組まれたわけだが、そこで大谷の後ろを任された村上がこのスランプである。
実際問題として1次ラウンドの4試合で大谷は敬遠四球2つを含む7つの四球を選んでいる。直後の村上は韓国戦で大谷敬遠の無死満塁で遊飛、オーストラリア戦の同じく大谷敬遠の1死一、二塁で二ゴロと結果が出ず、大谷が歩かされた直後の打席はノーヒット。今後は勝負どころで大谷が歩かされる可能性はさらに高くなるのは確実だ。