プロ野球PRESSBACK NUMBER
近藤健介“じつは一般入試組だった”横浜高時代「将来は料理人になりたい」あの名物コーチ・同級生が明かす“それでも天才だった”話
text by
樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/03/14 11:04
近藤は料理が得意で、高校時代に寮の合宿所で補食のチャーハンやスパゲティを作って食べていたようだ
尾関の言う「自分が必要なぶんだけの練習に集中する」という考えを聞くうちに、ふと、近藤の特徴である選球眼の良さに通じるものがあるなと感じた。近藤はかつてあるインタビューで四球の多さ(選球眼)について聞かれ「ストライクとボールを見極めているという感覚はない。自分が打てる球だけを打っている」と答えていたことがあった。それは「打てない球は捨てる」というシンプルな思考。もちろん、この思考にたどり着いた道程には「小倉野球」のデータ分析、戦術解析を詰め込まれてきた経験があるわけだが、尾関が言うように頭の中が整理できているから、どの引き出しから何を出せばいいかを迷うことがない。「あの引き出しのセンスは第六感というか、人間離れした勘というか(笑)。真似してできるものではないと思います。でも考え方そのものが参考になるんです」と尾関は言い切る。なるほど。小倉が「あいつはコーチの代わりなんだよ」と言った意味が、ここで合致するのである。
前言撤回「アイツがいちばん打つな」
1次ラウンドで残した打率は実に.467。攻守に安定したプレーを見せ、「活躍は無理」と言った小倉の予想はいま、いい意味で覆されている。このタイミングで再び小倉に電話してみると「いま、アイツがいちばん打つな」と、あっさりと、実に軽やかに前言撤回した。
和ませ役で負けず嫌い。試合中はいつもシンプルに考え、それでいて底知れぬ才能を漂わせる。それが日本の2番バッター、近藤健介である。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。