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J1新潟“遅咲きのテクニシャン”がいよいよ覚醒?「プライドが邪魔していた」大物ルーキーだった伊藤涼太郎(25歳)古巣・浦和でなぜ苦悩
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJ.LEAGUE
posted2023/03/14 11:03
J1復帰を果たしたアルビレックス新潟の好調ぶりを象徴するMF伊藤涼太郎の躍動。18日の次節は古巣・浦和戦に臨む
新潟では才能に頼ったプレーではなく、常に高い基準を自らに課した。
さらに昨季から就任した松橋力蔵監督の“立ち位置”をより重要視するサッカーも、伊藤にとっては好都合だった。後ろからのビルドアップと、両サイドにボールを持って動かせる選手を配置することで、中央に陣取る伊藤が自らの技術を存分に生かせる土壌ができ上がった。新潟が志すサッカーの方向性にハマるという追い風もあり、水を得た魚のように生き生きとピッチで暴れ回ることができている。
「(昨季は)常に自分のプレーに対して、攻守においてもう1段階、2段階ギアを上げていかないとJ1では通用しないと思いながらやっていました。例えば前を向けたとしても『J1だったら前を向けたのか?』、ツータッチで処理したところも『ワンタッチでいけたんじゃないか』と、常に自分に問いかけながらプレーをしていましたね」
そうして1シーズンを駆け抜けたことで、9ゴール11アシストという結果を残し、見事J1昇格の立役者になった。迎えた2023年、常にJ1基準で戦い続けた成果をピッチで表現し、「今度こそJ1で輝く」という覚悟を結果で示している。
「今までの自分とは違うところを見せないといけない。ここまで7年の道のりは遠回りだったかもしれないし、遠回りの要因は自分自身にあった。過去には戻れないからこそ、今、これからを大事にしていきたい」
「J1優勝も日本代表も本気で狙っている」と言葉にできるほど、今は自信に満ち溢れている。勝負はここから。新潟がJ1の壁にぶち当たった時にチームを引き上げられる存在になれるか。伊藤涼太郎の本当の真価が問われている。