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「絶対に全国高校駅伝なんか無理だぞ」“偏差値68”県立の超進学校の奇跡…部活では“超無名”、なぜスポーツ推薦ゼロで全国大会に行けた?
posted2023/03/07 11:01
text by
山崎ダイDai Yamazaki
◆◆◆
なんだかマンガみたいな話だなぁ。
いまから5年前の2018年のこと。静岡県立韮山高校が全国高校駅伝(都大路)への出場を決めたという報を聞いたとき、パッと頭に浮かんだのがそんなフレーズだった。
韮山高校は静岡県内でも有数の県立進学校である。
県内において、スポーツの話題で名前を聞くことはほとんどない。どちらかといえば有名なのはその進学実績だろう。毎年10人近い東大・京大合格者を輩出し、学年の半数以上が国公立大へと進学する。特に理数科は県内トップクラスの偏差値(68、普通科は66)を誇り、スポーツ推薦制度も当然ない。
そんな“超”のつくような進学校の陸上部で、この年起こったこと――それは、ざっとまとめると以下のような話になる。
「3年前の全中出場者数人が『おれたちで韮山を全国高校駅伝に連れて行くんだ!』と地元の公立進学校へ入学し、仲間たちと力を合わせて3年間で全国トップクラスのランナーに成長。その野望の通り、前年の全国大会で6位入賞していた強豪私学を破って初の都大路へとコマを進めた――」
字面だけ見れば、少年ジャンプやマガジンもびっくりの超展開である。
「みんな、強豪私立高の誘いを断った」
「それぞれ駅伝強豪校の私立からもみんな声はかかっていたんです。でも、最初は誰が言いはじめたのかな……『韮山で都大路を目指そうよ』という話になって。みんな地元が比較的近かったことと、学力的に差がなかったことも大きかったのかもしれません」
立役者のひとりである小木曽竜盛は、そう振り返る。
小木曽に加えて、小澤大輝、河田太一平、渡辺良太の4人はこの年、静岡県から3000mで全国大会へ出場していた。中でも小澤は全中で6位入賞、ジュニアオリンピックで準優勝するなど、全国でもトップクラスの成績だった。
県外の強豪校からも話はあったというが、あえて韮山を選んだ理由を小澤はこう説明する。