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26年ぶり日本一、21億円の置き土産まで!“マッチョマン”吉田正尚がオリックスで愛されまくった理由…先輩ラオウ「みんなでボストン行く」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byBillie Weiss/Boston Red Sox/Getty Images
posted2022/12/18 11:02
ボストン・レッドソックスの入団会見に臨んだ吉田正尚(29歳)。少し照れくさそうに英語で挨拶した
興味がないことにはとことん関心がないが、必要だと思うことは徹底的に突き詰める。プレーはもちろんのこと、特に3年目あたりから体のケアや食事などにもこだわるようになったことで、2018年から3年連続で全試合出場を果たした。
吉田はどこに食事に行くにも、“マイ座椅子”を必ず持参するという。カバンは持たず、座椅子を入れている袋に、財布だけ無造作に突っ込んで持ってくるのだという。若月健矢がこう証言する。
「ご飯に連れていってもらう時とか、絶対に座椅子を持ってきますね。それをお店の椅子の上に乗せて座るんです。絶対腰が痛くならないように、どんな時でも持っています」
吉田は以前腰痛に苦しみ、1年目は63試合、2年目は64試合しか出場できなかった。2年目だった2017年のシーズン後に手術に踏み切り、以降はオフの時間も細心の注意を払ってきたからこそ、継続的に結果を出し続けることができた。
マイペース伝説「正尚を憎むやつはいない」
野球に対してストイックだが、決してチーム内で近づきがたい存在ではなかった。超がつくほどマイペースな吉田は面白エピソードの宝庫でもある。
ほっともっとフィールド神戸で行われた試合でのこと。5回終了後のグラウンド整備が終わって選手が守備位置につき、6回表が始まろうかという時に、「あれ?レフトに正尚がいない!」という事件があった。慌てて探しにいくと、吉田はロッカールームでくつろいでいたという。
その日はほっともっと神戸恒例の「花火ナイト」の日で、5回裏終了後に花火の打ち上げがあったため、通常の試合よりも中断時間が少し長くなっていた。いつもより時間があるからとくつろぎ過ぎたのか、真相は定かではないが……。
大学時代からの付き合いの杉本は、「あいつは野球している時は、バッティングが天才的で、配球を読んだりめちゃくちゃ頭がいいんですけど、普段は抜けてるんです。ぼーっとしてる。まあそういうのが正尚って感じで、それに対してみんなどうこう言うわけでもないし、憎むやつはいないですよね」と笑っていた。