そのJ・コールが、日本代表について真っ先に口にしたのが「優等生すぎる」との言葉だった。「日本はきれいにプレーしすぎるんだ。W杯は、内容よりも結果が全てを決める“トーナメント・フットボール”だ。日本は勝利をほぼ手中に収めていたのに、勝ち点3をみすみす逃した。心が痛む」と嘆いたのである。その真意を次のように説明した。

「カマダは本当にトップクラスの選手だ」

「試合後のドレッシングルームをきれいに掃除していることを含めて、私はこの日本代表が大好きだ。でも、正直甘すぎると思う。コスタリカはタックルで奮闘するなど、日本を混乱させていた。でも、日本は決してそれに応えることがなかった。

　日本のプレースタイルは組織されていて、統率もよく取れている。ただ彼らは、ゴールを奪おうと攻撃を畳み掛けることがなかった。DFラインの背後に仕掛ける動きも少なかった。

　日本は、常に組織の中で自分のタスクだけに固執してしまう。それは日本の集団主義的な文化背景に起因していると思うが、彼らのプレースタイルにも表れている。前半も後半も彼らのプレーは良くはなかった。ただ、この試合はW杯なんだ。内容よりも結果が全てを決めるトーナメント・フットボール（＝一発勝負）なんだよ。日本代表は勝利をほぼ手中に収めていたのに……勝ち点3をみすみす逃した」

　J・コールの厳しい言葉には伏線がある。彼は試合前、日本代表を高く評価していたのだ。「日本は、今回のW杯で台風の目になると見ている。コスタリカに比べても、日本のクオリティの方が絶対的に高いし、個々の能力も断然高い。この試合で勝利を掴み取り、仕事をやりとげると思う」と期待していたのである。

昨季のEL準決勝フランクフルトvsウエストハム（4月）。この試合で鎌田はイングランド代表MFデクラン・ライス（右）とマッチアップ。ジョー・コールは「うまくかわしていた」と褒めた　©Getty Images

　さらに、試合前に注目選手として鎌田大地の名を挙げ、「昨シーズンの欧州リーグ準決勝で、古巣のウェストハムに悪夢を見させたからね」と絶賛。「彼は相手チームのポケット、つまり敵の陣形の隙間に侵入する動きがうまい。足技もあるし、パスも良い。ウェストハム戦ではイングランド代表のデクラン・ライスをうまくかわしていたし、本当にトップクラスの選手」と褒めちぎっていた。

「ゴンダはジャンプが早すぎる」

　0−0で折り返したハーフタイムの時点でも「日本は自分たちの思うような試合展開に持ち込めず、少しイライラしているように見える。動きも鈍い。ただ、ドイツ戦でもここから選手交代のカードを切り、勝利につなげた。実際、ベンチには強力な選手もいる。日本は巻き返しが必要だが、私は前向きな変化を期待している」と語っていた。

　しかし結果は、日本が0−1で敗戦。期待していた分、落胆も大きかったようだ。J・コールの指摘は日本の失点場面に及んだ。

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