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Jをめぐる冒険BACK NUMBER
「YouTuberになる」父・森保一はドイツから帰国した息子に何と返した? LISEMけーごが語る森保家の“やるなら楽しめ”主義
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byMiki Fukano
posted2022/11/22 11:04
広島ユースで日本一に輝くなど、順調なサッカー人生を歩んできた森保圭悟さん(29歳)。その後の海外でのプレー経験がYouTuberの活動につながった
父は元日本代表選手、2歳上の兄・翔平は大学卒業後にJリーガーとなり、7歳下の弟・陸も今年5月にアメリカ4部のチームと契約を結ぶことになるサッカー一家で圭悟は育った。
圭悟の誕生日は1993年9月22日。父がアメリカW杯アジア最終予選の決戦の地、カタールのドーハに旅立つ2週間ほど前に生まれた。
「家にはボールが転がっていて、気がついたらサッカーをやっていた感じです。サッカーのハイライト番組で親父の姿を見ていたりしたから、幼稚園生の頃から親父がサッカーをやってる人だっていう認識はありましたね」
自宅には、サンフレッチェ広島で父のチームメイトである高木琢也や前川和也、盧廷潤(ノ・ジョンユン)が家族連れでやって来た。バーベキューをするなど家族ぐるみで付き合っていた記憶がある。
だが、父からサッカーを教えてもらったことはない。たまに公園で一緒にボールを蹴る程度で、アドバイスも「やるんだったら、楽しんでやれ」と言われたくらいだ。
だから、圭悟にとってのアイドルは、擦り切れるほど見たビデオに出てくるラモン・ディアス、ジーコ、ピエール・リトバルスキーといったJリーグ黎明期のスター選手だった。
「小さい頃からシュートを打つとか、攻撃が好きでしたね。父から教わってないから、真逆のプレースタイルになったと思います」
ボランチ(当時は守備的MF)だった父と似ることもなく、圭悟はトップ下や右サイドを主戦場とするアタッカーとして育っていく。
“とんでもない選手”との出会い
父の移籍にともなって98年の1年間を京都で過ごし、父が広島に復帰した99年、圭悟はサンフレッチェジュニアで本格的にサッカーを始める。02年に父がベガルタ仙台に移籍すると、ベガルタのサッカースクールに通い、03年限りで父が引退すると広島に戻り、サンフレッチェジュニアに再加入。中学進学とともにジュニアユースに昇格した。
ここで圭悟は、とんでもない選手と出会う。
1歳下の野津田岳人である。
「バケモンでしたね。全然ボールを奪えないんですよ。『なんだコイツ!?』ってずっと思ってました。ポジションが被ることもあったんですけど、ガク(野津田)がボランチ、僕がトップ下で一緒に出ることも多かった。今までやったチームメイトの中で一番うまいと思った選手です。そんなガクが、プロになってからはくすぶっていたじゃないですか。やっぱりプロのレベルは高いなと思ったし、ガクが今季、サンフレの中心になって、日本代表にも選ばれたのは、めちゃくちゃ嬉しかったですね」