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ドラフトウラ話…他球団スカウトがガッカリ「あぁ、ロッテに獲られた」「ウチも3位指名のはずだったのに…」スカウトたちの悲しいドラマ
posted2022/11/12 11:01
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
KYODO
球史に残る激闘ともいわれた日本シリーズも、オリックスが26年ぶりの日本一に返り咲き、今季のプロ野球公式戦も幕を閉じた。
アマチュア球界も、社会人の「日本選手権」に、中旬から高校、大学の「明治神宮大会」があって、オフシーズンを迎えることになる。
吹きわたる風もヒンヤリ感が増して、ちょっと前まで、暑い、暑い……と泣いていたのに、野球を追いかける夏からドラフトまでは、本当にあっという間に過ぎていく。
その社会人・日本選手権の京セラドーム大阪。
鷺宮製作所のエース・小孫竜二(25歳・179cm85kg・右投右打・創価大)の快投が続く。
立ち上がりから、150キロラインを突破。ときに155キロ、156キロの数字をスコアボードに点灯させる。豪速球と同じかそれ以上の猛烈な腕の振りから、140キロ前後のスライダーとフォークで打者のスイングを崩して、NTT西日本打線につけ入る隙を全く見せない。
10月20日のドラフト会議で、楽天2位。通算でも、16人目に指名された社会人球界有数の剛腕。ヤクルト1位指名の吉村貢司郎(東芝)に次いで、社会人投手では2人目に指名されている。
「中日さんが外れ1位でってウワサがあったので…」
ネット裏には、様子を見守る3人の楽天スカウト。
1位指名が2人獲れたようなものですね……と、水を向けたら、
「中日さんが外れ1位でっていうウワサがあったので、2位では持ってかれると思ってました。でも、中日さんが内野手(※明治大・村松開人を2位指名)にいってくれたんで、ほんとありがたいですよ」
実際、東芝・吉村貢司郎投手以上の評価をしている球団も、いくつもあった……という話も伝わっていた。
この大会の初日。バイタルネット相手に、1回戦を勝ち上がった東芝。エース・吉村投手は先発しなかった。