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なぜ“忍者FW”町野修斗がDF中山雄太の代役に? あの中田英寿以来24年ぶり…「サプライズ選出の一報に湘南のクラブハウスが沸いた」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAFLO SPORT
posted2022/11/10 17:01
忍者の里・三重県伊賀市出身の町野修斗がゴールを決めたあとに見せる「忍者ポーズ」。追加招集で臨むカタールW杯の大舞台でも披露できるか
浅野の起用には慎重にならざるを得ず、そのなかで前田や上田に負担がかからないようにするために、森保監督はFWを追加したのではないだろうか。左SBを含めて複数ポジションをカバーする旗手怜央のようなタイプよりも、ストライカーは優先度が高かったのだろう。
最初からDFを8人とし、FWを4人選ぶべきだった、という意見はあるだろう。大迫勇也がバックアップバックメンバー入りを断っていたことも、町野の招集につながったかもしれない。
「すべてを変えないと」町野修斗が覚悟を決めた日
あとはもちろん、町野のパフォーマンスである。それこそが、森保監督をサプライズ招集に踏み切らせた理由だろう。
9日の記者会見では、海外組とともに初めてプレーした9月23日のアメリカ戦に触れた。後半からの出場で持ち味を発揮できなかった一戦を、町野はターニングポイントにしていた。
「このままじゃダメだと、本気で思いました。すべてを変えないといけないし、覚悟をもっと持たないといけないと。あの日からもっと上でやりたいと強く思ったので、そのために日々頑張ろうと」
果たして、アメリカ戦後のJ1リーグでは4つのゴールを積み上げた。
10月8日のFC東京戦では、自陣右サイドから単独で持ち出し、ペナルティエリアまで運んで右足で決め切った。
33節のサガン鳥栖戦では、シーズン3度目の1試合2得点をマークする。ヘディングシュートとペナルティエリア外からの右足シュートで、チームの勝利に貢献した。
そして、代表メンバー発表後の34節では、右足のコントロールショットを突き刺した。キックフェイントで相手をかわし、ペナルティエリア手前からゴール右隅へ流し込む。イメージどおりの一撃だっただろう。
ベルマーレはアメリカ戦後の5試合で3勝1分1敗の成績を残し、12位でJ1に残留した。町野は混戦の残留争いから抜け出した立役者であり、国内でプレーするストライカーではもっとも勢いのある選手と言っていい。そして、勢いを持ったFWは、フレッシュな23歳は、日本代表を活性化してくれる期待を抱かせる。
「何も失うものはない。ホントに思い切って、勢いに乗ってプレーするだけ。1日目からアピールして試合に出られるように頑張りたいですし、出たらゴールに対して貪欲にプレーしたいです」
初代表からわずか4カ月でW杯出場をつかんだサクセスストーリーは、ここからどんな展開を見せていくのか。気負いも衒いも力みもなく、町野は等身大の自分でW杯の舞台に立つ。
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