猛牛のささやきBACK NUMBER
「あの場面、結構テンパってました」オリックス宇田川優希“日本シリーズ2者連続三振”の舞台裏…若月、宗に感謝する理由とは?
posted2022/11/07 11:03
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Nanae Suzuki
誰だ? このえげつないピッチャーは。
宇田川? こんな投手いたのか!
今年の日本シリーズを見て、そんなふうに驚いた人は多かったのではないか。
今年開花し、オリックスのリーグ連覇に貢献した若手リリーフ陣の筆頭が、共に1998年生まれの宇田川優希と山崎颯一郎だ。普段オリックスの試合をあまり見ない人が、日本シリーズで彼らの姿を見たら驚くだろうなと、密かに楽しみにしていた。山崎颯は昨年の日本シリーズにも先発で登板していたが、宇田川はその頃まだ育成選手だったのだから。
ヤクルト連覇ムードを変えた宇田川の力投
昨年敗れたヤクルトとの再戦となった日本シリーズは、3戦未勝利から4連勝での逆転優勝だった。
ヤクルトの強力打線と、バッテリーの巧みなオリックス封じにより、ヤクルトの一方的な展開になってもおかしくなかった日本シリーズの転機となったのは、オリックスが2敗1分で迎えた第4戦。中でも、5回途中にマウンドに上がった宇田川のピッチングだった。
オリックスは3回裏に杉本裕太郎のタイムリーで1点を先制。5回表、それまで粘り強く無失点でしのいでいた先発の山岡泰輔が、1死から1番・塩見泰隆に三塁打を打たれると、中嶋聡監督は、早くも宇田川をマウンドに送った。同点にもしたくない、1点もやれないという意思表示だ。
「あそこは本当に三振を取りに行けるピッチャー、その選択肢しかなかった」と指揮官は振り返る。
そこで宇田川は、2者連続三振で期待に100%応えた。
「今日勝たないと相手に王手をかけられちゃうので、同点にしたくないなという気持ちがあった。外野フライも打たせたくなかったんで、三振を狙いに行きました」