小川「出せるものは出し切りました」

　シリーズ2度の登板をトータルで考え、小川と中村のバッテリーが綿密に描いた設計図は、杉本に浴びたタイムリーではなく、実は太田へのあの1球、あの1つの失投から崩れていったのかもしれない。

「出せるものは出し切りました」

　小川が絞り出したのはこの言葉だけだった。

　崖っぷちに立たされたヤクルト。心配なのはこの日も1安打に終わった自慢の打線の沈黙だ。

「作戦、対策を練って挑んだけど、結果がうまくいかなかったところを考えると、相手バッテリーがうまく攻めたのか、こちらの作戦が良くなかったのか……」

高津監督が悔やんだ場面と残された道

　こう語った高津監督が悔やんだのは、安打が出ないながらも4回と6回に2四球で掴んだチャンスを活かせなかったことだった。

「四球は相手のミスだと思っている。そのミスにつけ込むことができなかった。いつも打てる訳ではないけど、そういうところから崩していかないと」

　悔やんでも残された道は第7戦に勝って、36年ぶりとなる第8戦へと持ち込むしか無くなっている。

「ここまできたら勝つしかない。勝つために全力を尽くします」

　短い言葉に指揮官の決意が込められていた。

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