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ドラフトウラ話…記者の本音「ホークスドラ2に正直驚いた…勝てる投手の“緊急指名”だ」ドラフト全指名を検証する《西武・阪神・ホークス編》
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byJIJI PRESS
posted2022/10/31 17:24
西武5位指名の山田陽翔投手(近江高・175cm78kg・右投右打)
で、2位では、どんな大器の名前を挙げてくるのか、イヒネ・イツアと名古屋の軟式野球クラブで一緒にプレーしていた内藤鵬(内野手・日本航空石川高・オリックス2位指名)か…と身構えていたら、大津亮介(投手・日本製鉄鹿島)ときたから驚いた。
同じ社会人チームからプロに進んで今季4年目、11勝をあげた大貫晋一投手(横浜DeNA)と、まさにウリ二つ。速球、スライダー、スプリットで両サイドを突いて、シュート、ツーシームでホームベース三塁側を支配する。
オリックスに2年連続ペナントを奪われて、将来も大事だが、やはり来季もなんとかしないと……。試合を作れて「勝てる投手」の緊急指名となった。
3位・甲斐生海(外野手・東北福祉大)は、今夏のオープン戦あたりから劇的にバッティングが変わった。長距離砲の素質開花、見るからに屈強そうな体躯と豪快なアッパー気味スイングから本塁打連発。次世代・ギータ(柳田悠岐)を想定した指名に違いない。
実は、ソフトバンクにいちばん指名してほしい選手だった4位・大野稼頭央(投手・大島高)。当「ひとりドラフト」でも話したが、明豊高当時の今宮健太のバイタリティーとエネルギーを、そのまま感じている。その細い体で、どうしてこんなプレーが……日に焼けた精悍なマスクで、新しい人気者になれる。
2位・大津亮介投手と同じぐらい驚いたのが、5位・松本晴(投手・亜細亜大)だ。昨年、左ヒジのトミー・ジョン手術を受けて、この秋も5イニングとちょっとしか投げていない。但し、鹿児島・樟南高の時が素晴らしかった。文句のつけようのないボディバランス抜群のフォームからアベレージ140キロ前半の速球にスライダー。てっきりドラフト上位指名でプロ入りかと思ったら、進学と聞いて、その時も驚いた。回復すれば……を見越した指名。お手並み拝見だ。
右打ちの打てる捕手……プロは欲しがり、今年のドラフトでもほんの数人しかいなかったこのタイプなのに、ここまで、指名なしだったのか。これも、小さな驚きだった。
6位・吉田賢吾(捕手・桐蔭横浜大)は、バットで勝負できる捕手だ。リーグ戦三冠王や1試合3本塁打も貴いが、それ以上に、たくさん振っても、下半身の崩れやスイング軌道のブレを生じない「確かさ」がバットマンの資格であろう。
<DeNA・オリックス・ヤクルト編へ続く>