1年時に与えた猛威は、相手に脅威と警戒を植え付ける。高校と違い大学はリーグ戦が主戦場だ。同じピッチャーとの対戦も重ねることから、山田は徹底的に分析され、試合での攻め方もより厳しくなるのは必然である。

　わかりやすく説明すれば、山田は“2年目のジンクス”にハマってしまったわけだ。本人もそれを自覚するように、言葉を漏らす。

「2年生の時はきつかったですね。何がしたいのか全然わからなかったですし。迷走しましたね。なんか、変な方向で違うことをやろうとしていたというか」

　この頃の山田はきっと、原点を忘れかけていたのではないだろうか。

　それは、自分の100％の状態で、初球から強くバットを振っていくこと。バッター心理として、ヒットが出ないとどうしてもボールに対して中途半端に当てにいってしまいがちだ。そうなれば当然、快打の確率は減るわけで、山田にしても例外ではなかった。そこから下半身を意識したスイングを心掛けるなどのアプローチを経て、徐々に復調の兆しを掴んでいった。

貫いた「明るく前を向いて頑張ってやる」

　3年生は春に3割1分6厘。秋は2割7分と打率こそ落としたが、前年より数字が改善されたのは明らかである。技術的な側面はもちろん作用しているだろうが、根底にあるのは心の持ちようなのだと、山田が明かす。

「『自分はダメだ』と思い込んだら絶対に成長できないと思うんで。いいことも悪いことも経験させてもらうなかで、明るく前を向いて頑張ってやることが一番かな、と」

立教大の練習風景　©Genki Taguchi

　ネガティブな話題であっても、山田は常に顔を上げている。「はははは」と最後は笑顔で結ぶことが多かったが、そこに悲観の色は見えない。この精神も、ぴったりとハマる。

「立教の貴公子」

　あるいは「プリンス」と呼び名を変えてもいい。山田に付けられた愛称である。

「別に悪口ではないんで。『ありがとうございます！』って感じで、ふふふふふ」

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