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マンC最終兵器は20歳怪物ハーランド、マネ・南野が去ったリバプールやチェルシー期待の新戦力は?《プレミアBIG6最新序列・布陣》
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph bySports Graphic Number/Getty Images
posted2022/08/13 11:00
マンチェスター・シティの一員となったハーランド。リーグ3連覇とCL制覇へのリーサルウェポンだ
チェルシー:アブラモビッチが去って新体制はどうなる?
ロシア軍のウクライナ侵攻により、ロマン・アブラモビッチとウラジーミル・プーチンの親密な関係があらためて問題視され、前オーナーはクラブを手放すこととなり、約19年に及んだ“ロマン帝国”は昨季終盤に幕を閉じた。
アメリカ人の新オーナー、トッド・ボーリーはアブラモビッチ色を一掃する一方で、トーマス・トゥヘル監督には全幅の信頼を寄せている。それはクリスティアーノ・ロナウドを欲しがりながらも指揮官の意見を聞いて翻意したことや、巨費を投じて迎えながらもフィットしなかったロメル・ルカクのローンでの放出を認めたことなどに見て取れる。
ただし当然、その前代未聞の事態により、一昨季の欧州王者が無傷でいられたわけではない。アントニオ・ルディガーとアンドレアス・クリステンセンの2人の守備者が荷物をまとめ、最終ラインに大きな穴が空いた。7月下旬にアメリカで行われたプレシーズンマッチでアーセナルに0-4で大敗すると、指揮官は「落ち着いていられるはずがない。(中略)昨季に制裁を受けた後、選手たちはクラブを離れたがり、実際にそうした選手もいるし、今もそう願っている選手もいる。そしてチームはこの有り様だ」と不満をこぼした。
1億5000万ポンド超を投じた新オーナー
しかし本稿執筆時点でその後に出ていった選手はおらず、逆に補強は進んでいる。
7月のうちにFWラヒーム・スターリングとCBカリドゥ・クリバリーを高額で迎え入れ、8月にはシティとの競合を制してSBマルク・ククレジャを獲得。高齢化が懸念される中盤には、18歳の天才MFカーニー・チュクエメカを招き、ローン先で急成長した22歳のコナー・ギャラガーも戻ってきた。さらには20歳の長身ストライカー、アルマンド・ブロジャも武者修行を積んで逞しくなって帰還している。
ハキム・ジエシュやカラム・ハドソン=オドイらには移籍の噂が流れているが、メイソン・マウントやカイ・ハバーツ、エンゴロ・カンテ、チアゴ・シウバなど、昨季に世界を制した主力は健在だ。エバートンの本拠地での開幕戦では、ジョルジーニョのPKで奪った1点を守り切る「チェルシーらしい」(トゥヘル監督)勝利で、新時代を白星でスタートさせ、早くも総額1億5000万ポンド超を投じた新オーナーを喜ばせた。
ちなみにルカクが昨季に着けていた背番号9は、呪われたナンバー──フェルナンド・トーレスやラダメル・ファルカオ、アルバロ・モラタ、ゴンサロ・イグアインと期待に応えられなかった選手は多い──とされ、「誰も触れたがらない」と指揮官は明かしている。
<#2/「トッテナム、アーセナル、ユナイテッドの動向」、#3「BIG6以外の注目クラブ」につづく>
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