町野はスピード、高さ、テクニックと総合力が高いストライカー。今季はすでにリーグ2位タイの8ゴールを挙げており、そのゴールのパターンも豊富です（左2、右4、頭2）。相手を背にしてボールを受けられるだけでなく、裏に抜け出す動きも多彩。さらにヘディングがうまいんです。ベルマーレ加入当初は大橋祐紀やウェリントンらがいて出番が限られる時期もありましたが、チャンスを活かしたことで自信を掴んだのでしょう。

町野修斗（湘南） ©Getty Images

もし課題を挙げるなら“鈴木優磨”的な強さが欲しい

　もし課題を挙げるとしたら、まだ自分から強引にボールを呼び込むような姿勢が足りない。それは単に欲があればいいというわけではなく、「もっとチームを上に持っていくぞ」という「ゴール＝勝利」の意識がストライカーとしてはほしいところです。

　わかりやすく言えば、鹿島の鈴木優磨のような強さでしょうか。

　鈴木は言動で目立つことが多いですが、守備に戻る姿勢や体を張って起点を作るなど、チームの勝利のために見せる献身性は目を見張るものがあります。上田が輝けるのは鈴木の仕事量の多さがあるから。町野にもそういう“強さ”や“勝利へのこだわり”が生まれてきたら、相当化けるのではないかと期待しています。藤井と同じように、調子がいい時にステップアップのチャンスを掴んでほしいです。

パリ五輪世代でも注目してほしい選手は多い

　最後に、森保監督も「数名呼ぶかも」と示唆していたU-21日本代表から。U-23アジアカップでは望んだ結果は得られなかったかもしれませんが、カテゴリーが上の相手を前にしてもタフに戦う姿勢を見せてくれました。

　ここからE-1選手権に参加しそうなのは、Jリーグでの出場機会も踏まえると前述したMF藤田、松岡、FC東京の松木玖生、柏レイソルの細谷真大あたり。その中でも存在感の大きかった、MF鈴木唯人（20歳、175cm/70kg）は注目しています。

U-23アジアカップでの鈴木唯人（清水）©AFC

　スペースがある中でドリブルを生かす選手は多いですが、鈴木は相手が密集する中でも打開し、推進力を上げられるのが他の選手にはない特徴。狭い局面でターンし、そこから仕掛けてシュートまで持っていくスキルが高い。相手からすれば、堂安律や久保建英のようなキュキュっと相手を抜き去るのとはまた違う怖さがありますよね。おそらく遠からず海外へ挑戦する選手のひとりだと思うので、より速くて強い相手にもまれてどんどん成長してほしいです。

とても残念なのは、清武弘嗣の負傷です

　経験値のある選手として挙げたかったんですが……とても残念なのは、清武弘嗣（セレッソ大阪、32歳、172cm/66kg）の負傷です。

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