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元韓国代表GKチョン・ソンリョンが語る「若き日のソン・フンミン」…“川崎F勢”が席巻する日本代表戦は「弟が試合に出ているみたい(笑)」
posted2022/07/01 11:03
text by
いしかわごうGo Ishikawa
photograph by
AFLO
「ソンさんは寡黙なので、助言してくれる一言一言に重みがあるんです」
昨シーズン終盤、パリ五輪世代である宮城天がそんな風に話していた。圧倒的なキャリアがあり、人格者でもあるチョン・ソンリョンからの言葉は、若手にとっては宝物になるようだった。
優勝争いが佳境を迎えていた2021年の第32節鹿島アントラーズ戦、川崎フロンターレの宮城天はJ1でのリーグ初ゴールを記録した。
アディショナルタイムに放った無回転のミドルシュートがゴールネットに突き刺さり、ドロー寸前だったチームに劇的な勝利をもたらす逆転弾となったのだ。リーグ連覇を引き寄せる、まさに値千金の一撃だった。
その数日後、クラブハウスで宮城はソンリョンから「ソン・フンミン(トッテナム)に似てる。なれるぞ」と言われたのだという。
選手の心に響く言葉とは、「何を言うのか」よりも「誰が言うのか」が重要であることの方が多いものだ。韓国代表でソン・フンミンとプレーしていた重鎮GKが伝えてくれたこの言葉は、宮城の心に刺さった。
「ソンさんにそう言ってもらえた時に、すごく嬉しくて……。ソンさんに言われたなら、目指そうと思ったんです」
それ以来、宮城はソン・フンミンのファンになり、そのプレーを熱心に研究するようになったという。
宮城天につけたあだ名は「テン・フンミン」
このエピソードをソンリョンにも尋ねてみた。
やはり宮城が見せたあのシュートに可能性を感じたようだった。だから、大きな期待もあるのだろう。それ以来、ソン・フンミンをモジったあだ名で呼んでいると笑った。
「ソン・フンミンと似ているようなフォームだったんですよね。だから(宮城天のことは)『テン・フンミン』と呼んでいますよ(笑)。まだまだ成長もしていますし、パリ五輪世代でアンダー代表にも選ばれていますから、これから見えてくるものが多くなっていくと思います」
せっかくの機会なので、本家のソン・フンミンについても尋ねてみた。
ソンリョンはソン・フンミンがまだ若手だった時代に韓国代表で共にプレーし、2011年のアジアカップや2014年のW杯のメンバーにも揃って選出された。当時から印象的だったのは、ピッチで見せる自信とシュート技術の高さだという。