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長谷部誠38歳と鎌田大地(23戦11発)のEL実績が超スゴいけど… 20年前の小野伸二はどんな名手と優勝した?〈過去の海外組を大調査〉
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byMutsu Kawamori
posted2022/05/22 17:02
EL制覇を成し遂げた鎌田大地と長谷部誠。日本人選手はELでどんな実績を残したか
☆準優勝☆
〈酒井宏樹/マルセイユ(フランス)17-18シーズン〉
・GLの対戦相手:ザルツブルク、コンヤスポル、ビトーリア
・決勝T以降の対戦相手:ブラガ、ビルバオ、RBライプツィヒ、ザルツブルク、アトレティコ・マドリー
・主力選手:GKマンダンダ、MFパイェ、ルイス・グスタボ、FWオカンポス、トバン
・酒井の成績:10試合1得点(765分)
日本代表、浦和で不可欠な右サイドバックの酒井。PSGのネイマールを抑えるなどマルセイユで積み上げた信頼は多大だが、ELでも準優勝という実績を残している。マンダンダ、パイェらEURO2016準優勝メンバーが在籍したチームは、RBライプツィヒとザルツブルクの“レッドブル勢”を連破し、決勝の舞台へと上り詰めた。
酒井も主力として活躍し、RBライプツィヒ戦でのセカンドレグで貴重な追加点を挙げる(なおこれがマルセイユでの初得点)など、抜群の安定感を見せた。こんな快挙なのに、なぜ決勝の記憶がないのか……というと、酒井はシーズン終盤の負傷で出場できなかったのだ。シメオネ監督率いるアトレティコとの丁々発止のバトルが観られなかったのは、惜しかった。
小野がUEFA杯を制した時のメンバーが豪華すぎ
最後にUEFA杯の頃だが……小野の成績はこんな感じだった。
☆優勝☆
〈小野伸二/フェイエノールト(オランダ)01-02シーズン〉
・予選ラウンドの対戦相手:フライブルク、レンジャーズ
・決勝T以降の対戦相手:PSV、インテル、ドルトムント
・主力選手:MFボスフェルト、エマートン、FWファン・ホーイドンク、トマソン、ファンペルシ
・小野の成績:8試合2得点(745分)
調べてみて「そうだった!」と思い出したのが、ファンペルシである。
当時17歳のファンペルシは小野と交流を持ち、その柔らかなテクニックに心惹かれたというエピソードは有名だが……期待のFWとして7試合に出場していた。しかし長身FWながらFK職人で名を馳せたホーイドンク、デンマーク史に残るストライカーであるトマソンが絶頂期にあり、スモラレクらも控えていた(“ウイイレでお世話になったなあ”なんて人も多いのでは)。あらためて小野は多士済々のストライカーを操っていたんだな、とその偉大さに気づかされる。
このほかにも瀬戸貴幸がルーマニアのアストラで活躍した2016-17シーズン(決勝T進出)なども、「こんなところで海外組って頑張っている」と新たな発見をさせてくれた。各国リーグやCLだけでなく、ELもまた日本人の活躍を喜べる、大事な舞台なのである。
ヨーロッパの戦いにおいて、今シーズンは最後の最後に楽しみが残っている。
「日本人選手在籍のクラブがCL制覇」
リバプールに南野拓実がいるからだ。
もちろんサラー、マネ、フィルミーノらが盤石だし、さらに相手はレアル・マドリーという難関だ。でもカップ戦で結果を出し続けて、プレミア第37節でもゴールを決めている。本人は思うところがあるのは承知の上で……当代の名将クロップに素晴らしいバックアッパーと思わせるだけでも高い実力の持ち主である。
20日に日本代表6月シリーズのメンバーが発表され、鎌田と南野の名もあった。EL、CL制覇クラブ両方に日本人選手がいるとなれば、W杯に向けて日本代表やサッカーへ世間の注目も集まるはず。チャンスが巡ってくることを期待しつつ……29日早朝(もしくは28日深夜)、W杯イヤーとなる欧州の総決算を見逃す手はない。
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