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「ベンゲルさんは上から目線ではなく…」シンガポール代表監督・西ヶ谷隆之が思い返す“名将の教え”「アジアカップで日本と対戦できたら」
posted2022/05/21 11:01
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Naoya Sanuki
シンガポール代表監督に就任した西ヶ谷隆之は、かつての恩師に思いを馳せている。1996年のプロ1年目に、およそ半年間指導を受けたアーセン・ベンゲルだ。
「ベンゲルさんが名古屋からアーセナルへ行ったときに、現地イングランドのメディアは『アーセンって誰だ?』と書いたそうですが、シンガポールでは『西ヶ谷って誰だ?』でしょう(笑)。J1のクラブで監督をやったこともない自分は、基本的にマイナスからのスタートです。そこを変えていくのは結果しかない。土台作りだけではなく、育成も含めて結果にコミットしていかないと、周囲の評価を変えられないと思っています」
日本で指導をしている当時とは、「立場」が入れ替わることも理解している。日本人の彼は、シンガポールでは外国人だ。
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「シンガポールのサッカーだけでなく、他民族の人々を理解したうえで、色々なことを進めていかなきゃいけない。今回は自分が外国人になりますが、日本で成功してきた外国人選手や指導者も見てきたので、その経験値を生かしたいですね」
思い浮かべる監督像は「ベンゲルさんとオシムさん」
新天地に溶け込むために、西ヶ谷は「目線を合わせる」ことを心掛ける。ベンゲルとともに、あの元日本代表監督の名前もあげた。
「まだ日本がW杯に一度も出場していない時代に、ベンゲルさんは日本人選手のポテンシャルを信じて、指導をしてくれていた。上からの目線で『教えてやるぞ』というような感じはなく、日本サッカーと日本人、日本という国をリスペクトしていました。
指導キャリアで言ったら僕なんかがシンガポール代表監督に選ばれるはずがなく、強化に特化するなら適任者は他にいるでしょう。そういう方は、たとえば『スペインはこうだ』と提示して色々なことを推し進めて、それに対して『できる、できない』のジャッジをしていくと思うのですが、イビチャ・オシムさんは『日本サッカーの日本化』という話をされた。シンガポールでも日本のスタンダードを持ちつつも、あの土地に、あの人たちに合ったスタイルを、選手と一緒に作り上げていきたい」