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ぶら野球BACK NUMBER
“巨人史上最強の助っ人”がアゴに右ストレートで大乱闘…毎年言ってた「今シーズンで引退する」クロマティはなぜ球界の人気選手になった?
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2022/05/20 11:01
ウォーレン・クロマティ。1984年~90年、巨人に在籍。NPB通算打率.321、951安打、171本塁打、558打点。“巨人史上最強の助っ人”と言われる
デビューしたのに売上げは3万枚で…
またも「今年はオレの最後の年」とキャンプインした88年は、打率・333と好調をキープも6月13日に甲子園の阪神戦で久保康生から左手に死球を受け親指骨折。代役で昇格した呂明賜の大爆発で手術を受けたクロマティ不要論まで一部では囁かれたが、アジアの大砲は後半に急失速。そんなチーム事情を横目にクロウは“クライム”というバンドでドラムを叩き、11月に東芝EMIからファーストアルバム『テイク・ア・チャンス』を発売する。全日空ホテルでのパーティーには300人が集まり、王監督も駆け付けてくれた。ついに悲願のミュージシャンデビューの夢がかなったのである。
リハビリ中のはずなのに『夜のヒットスタジオ』で、そんなに激しくドラムを叩いて骨折した指は大丈夫なのか的な突っ込みどころは満載だったが、テレビ出演時にこれだけ注目されたロックバンドのドラマーは、XJAPANのYOSHIKIとクライムのクロウくらいだろう。だが、売上げは3万枚ほどで2枚目の契約は白紙に。しかもキャロル夫人との離婚話で莫大な慰謝料と養育費が必要だった。……ちきしょう。しょうがない、あと1年。あと1年だけニッポンで稼いでやるぞ。そうして、89年を迎えるわけだ。
<後編へ続く>
ホーナー、バース、ブライアントからペタジーニ、ラミレスまで……懐かしの助っ人外国人を独断と偏見で50人選出。彼らの野球人生を描いた『プロ野球 助っ人ベストヒット50』(ベースボール・マガジン社)。(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。