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2度目の舌禍騒動、そして“かつお節営業”で胃潰瘍に…元近鉄・加藤哲郎(58)が語る“麻雀講師の今”「思ったことをしゃべるのがアダに」 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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posted2022/05/07 11:07

2度目の舌禍騒動、そして“かつお節営業”で胃潰瘍に…元近鉄・加藤哲郎(58)が語る“麻雀講師の今”「思ったことをしゃべるのがアダに」<Number Web> photograph by Number Web

1989年の日本シリーズで「巨人はロッテより弱い」という発言を報じられた元近鉄の加藤哲郎氏。58歳を迎えた男の“知られざる第2の人生”に迫る

「加藤君、実はあの……」

 球団社長が申し訳なさそうに切り出した。

「自由契約ですよね。お世話になりました。ありがとうございました」と席を立つと、予想外の反応に慌てた社長が「ちょっと待って」と引き留める。「自由契約ですよね?」と確認すると、「そうなんだけど」と控え目に頷いた。「あとは自分で考えますので」と背を向けると、「スコアラーやスカウトで球団に残る道もあるんだ」と引退後のポストを明かした。「いや、未練があるので野球を続けます」と話し、わずか5分でその場を立ち去った。

「僕は口が立つと思われているみたいで、社長は戦々恐々としていました。普通、自由契約になる選手はチームへの文句を1つ、2つ言うそうです。でも、評価は他人が下すもの。甘んじて受け止める以外ないですよ」

原辰徳の“引退試合前日”に引退

 翌年は広島で7試合に登板するも解雇され、翌々年はダイエーに移籍。二軍で7月14日から8月20日まで中継ぎで7試合連続無失点と好投したが、リーグワースト防御率の一軍には昇格できず、戦力外通告を受けた。

「その時も5分で終わりました。当時、30歳過ぎて他球団から移籍してきた選手には厳しい時代でした。結果を残しても上から呼ばれない。その状態が続いたら、ストレス溜まってしゃあないなと思って。好きな野球を嫌いになる気がしたので、いっそのこと辞めちゃおうと」

 巨人の原辰徳が派手な引退試合を行なう前日の1995年10月7日、31歳の加藤哲は13年間の現役生活にひっそりと幕を閉じた。

「野球界に残るのも難しいだろうし、免許取ってトラックの長距離運転手になろうと考えていたんですよ。そしたら、麻雀仲間の朝日放送のプロデューサーが誘ってくれて、解説者になれました」

解説者として“2度目の舌禍騒動”

 野球中継だけでなく、テレビの『おはようコール』、ラジオの『近鉄バファローズアワー』などにもレギュラー出演。歯に衣着せぬ発言で賛否両論を呼んだ。

「仕事は面白かったですよ。ただ、思ったことを全部しゃべるので、それが仇になりましたけど」

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