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2度目の舌禍騒動、そして“かつお節営業”で胃潰瘍に…元近鉄・加藤哲郎(58)が語る“麻雀講師の今”「思ったことをしゃべるのがアダに」 

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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posted2022/05/07 11:07

2度目の舌禍騒動、そして“かつお節営業”で胃潰瘍に…元近鉄・加藤哲郎(58)が語る“麻雀講師の今”「思ったことをしゃべるのがアダに」<Number Web> photograph by Number Web

1989年の日本シリーズで「巨人はロッテより弱い」という発言を報じられた元近鉄の加藤哲郎氏。58歳を迎えた男の“知られざる第2の人生”に迫る

 2001年、もう1つの舌禍騒動を起こす。優勝争いの終盤、近鉄の投手が不甲斐ないピッチングを見せた。放送席で我慢できなくなった加藤哲は怒りを爆発させた。

「『こんなピッチャー投げさせたら、チームの士気に関わる。明日から二軍落ちや!』と言ったんですわ。そしたら、放送局に抗議が殺到して、契約を打ち切られました。昔々は暴言吐く解説者もいたんでしょうけど、その時は2000年過ぎてましたからね(笑)。しかも、近鉄の1社提供の番組でしたから。時代は変わっていたけど、僕はずっとそんな調子でしゃべってました。だって、思ったことしか言えないので」

会員制クラブ、雇われ社長…そして“かつお節の営業マン”に

 突如として解説者をクビになった加藤哲は路頭に迷った。

「本当に困りましたよ。でも、背に腹はかえられんなと。共同経営で、会員制のクラブを始めました。女の子には『お客さんは俺が呼ぶから愛想良くしてくれ』とだけ言いました。10人ほど雇いましたけど、ノルマを一切課さなかったから、誰も辞めなかったですよ」

 現役時代はほとんど酒を口にしなかったが、引退後はテキーラを4時間で3本空けたり、マッコリを壺1杯飲んだりするなど、酒豪に変貌していた。店は自身もホストとして出たことで繁盛した。

「北新地でクラブを2年、ミナミでラウンジを3年やったのかな。毎日飲むから、体に悪かった。あんまり長く続ける商売じゃないなと。僕の悪い癖で『もっと楽しい仕事があるんじゃないか』とも思ったんですよね」

営業職で胃潰瘍に…「お客さんが減ったら、責任とれへん」

 知り合いの誘いで、焼肉屋やお好み焼き屋などをチェーン展開する会社の“雇われ社長”として働いた。しかし、リーマンショックの煽りを受けて立ち行かなくなり、かつお節の営業マンに転職した。

「全く性に合わなかった。思ったことしか言えない人間が『ウチの商品は素晴しいですよ』と口にできないんですよ。心のどこかで『どれ使っても一緒やんか』と思ってるのに、『ウチのほうが』と口八丁で説明できない。『仕事やから』と言い聞かせても無理でした」

 付き合いのある飲食店経営者の元へ赴いたが、自分をごまかせなかった。

【次ページ】 週5日勤め…“健康麻雀・講師”の今

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