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冨安健洋プレミア移籍を吉田麻也が予言していた? 現地番記者が知る《モウリーニョ時代から注目していたトッテナムから急転アーセナル》の真相
posted2021/09/13 17:02
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph by
Getty Images
プレミアリーグのアーセナルに移籍した日本代表DFの冨安健洋は、初陣となったノリッジ戦で高いパフォーマンスを見せた。そのプレーぶりにはアルテタ監督、アーセナルOBやファンも高く評価している。
ここでは今回の移籍はどんな経緯だったのかを振り返ってみる。
クラブの公式発表によると、契約年数は「長期」。アーセナルはアーセン・ベンゲル元監督時代から新加入選手の契約年数を公表することが稀で、今回も同様の措置となった。だが、英メディアによると、契約年数は4年で、1年の延長オプションがつくという。現在、冨安は22歳。キャリアの最盛期をプレミアリーグとアーセナルで戦うことになった。
イタリアのボローニャでプレーしていた冨安の動向は、イングランドでも注目の的だった。まず今年1月に開幕した冬の移籍市場で、アストンビラとサウサンプトンが獲得オファーを出していたが、移籍金の金額が不十分として、ボローニャが断りの返事を入れていた。
情勢が一気に動いたのは、北ロンドンに本拠地を置くトッテナムが獲得に本腰を入れた今夏市場から。トッテナムのフットボール・ディレクターに就任したイタリア人のファビオ・パラティチが、冨安の補強を強く希望したからだ。今年5月にユベントスのスポーツ・ディレクターを退任したばかりで当然、イタリアサッカーに精通しており、ボローニャでCBと右SBとして躍動していた冨安に以前から目を付けていた。
モウリーニョ時代からトッテナムの補強リストに
スポーツサイトの「ジ・アスレティック」でトッテナムの番記者を務めるチャーリー・エクルスシェア記者によると、実はジョゼ・モウリーニョ前監督時代からスカウト陣の補強リストに冨安の名があがっていたという。
だが、ポルトガル人指揮官は別選手の補強をクラブに提言し、日本代表DFの獲得には乗り気ではなかった。そのモウリーニョが昨シーズン途中で解任され、パラティチがクラブに入団したのを機に、冨安獲得に一気に動いた。質・量とも心もとない右サイドバックの補強は、トッテナムにとって急務の課題だったからだ。
スパーズとしては、東京五輪の開幕日の7月23日までに契約をまとめたい意向で、五輪前には冨安本人とも個人契約で合意にこぎつけたと報じられていた。
しかし、ここからボローニャとの交渉がこじれた。