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冨安健洋プレミア移籍を吉田麻也が予言していた? 現地番記者が知る《モウリーニョ時代から注目していたトッテナムから急転アーセナル》の真相
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2021/09/13 17:02
アーセナル移籍が決まった冨安健洋。サウサンプトン時代の吉田麻也の“予言”も興味深い
アルテタ監督は、アーセナルで4バック(4-3-3)と3バック(3-4-2-1)の2つのシステムを併用している。スペイン人指揮官は「4バックと3バックで、どの位置でもこなせる」と日本代表DFの万能性を評価しているが、4バックでは右SBとCB、3バックでは右ウィングバックとCBとしてプレーすることになりそうだ。
この右SBのポジションが、アーセナルの弱点だ。4-3-3で挑んだブレントフォードとの開幕戦ではカラム・チェンバーズが同位置で先発したが、簡単に背後を取られたり、クリアミスをしたりして失点に関与。昇格組相手に0-2の完敗を喫した。
右SBの序列で次点につけるセドリク・ソアレスも出場機会が少ないせいか、前所属のサウサンプトン時代に比べると大きくスケールダウンしている印象だ。
「右サイドでクオリティをもたらしてくれる」
冨安の潜在能力を引き出すベストポジションは日本代表でもプレーするCBかと思うが、まずはチームのアキレス腱となっている右SB、もしくは右WBでスタートすることになるだろう。指揮官も「右サイドで、トミはこれまでチームになかったクオリティをもたらしてくれる」と期待を隠さない。
アルテタ監督は、アーセナルでポゼッションベースのパスサッカーを展開している。マンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督のアシスタントコーチを3年半務め、最先端の戦術知識をそこで身につけた。
実際、試合では陣形が左右非対称の複雑なシステムで勝利に結びつけることもあるが、一番の課題は、こうした高度な戦術が結果に安定してつながらないことにある。
地元記者「トミは右SBのファーストチョイス」
特に、今シーズンは67年ぶりとなるリーグ開幕3連敗を喫しており、一時は最下位に沈んだ。得点数もゼロで、3試合で9失点を献上している守備の改善は急務だ。細部を見ても前線から最終ラインまでが大きく間延びし、プレスも緩慢。ピッチ上ではチームを引っ張っていくリーダーも見当たらない。
このまま低空飛行を続ければ、アルテタ監督の去就が問題になってくるのは間違いない。