1点を巡る激しい攻防。5回まで森下が米国打線を3安打無失点に抑えると、6回からは日本ベンチが継投に入る。

　6回は2番手の千賀滉大投手（ソフトバンク）が2人の走者を出しながら1点も許さず米国の反撃を封じると、7回からは五輪の舞台でも物おじしないピッチングで中継ぎの中心投手の1人となったルーキーの伊藤大海投手（日本ハム）が0封でつなぐ。そして8回の先頭打者に伊藤が三遊間を破られ打席に左打者のT・カサス内野手を迎えると、すかさず左腕の岩崎優投手（阪神）にスイッチして米国打線を封じ込んだ。

山田哲人の技ありの走塁で追加点

　そしてその裏、今度は村上のヤクルトの先輩・山田哲人内野手が技ありの走塁でスコアボードに貴重な追加点を刻んだ。

　この回先頭の山田は、まず右前安打で出塁する。2番・坂本が送った直後の吉田正尚外野手（オリックス）の打席だ。詰まりながらも吉田が力で中前に落とした。二塁走者の山田は1度は三塁で止まったものの、中堅手のロペスが本塁に悪送球。これが大きく三塁ベンチ方向に逸れる間に、山田が本塁に突入した。

(C)Getty Images

　ギリギリのタイミングだったが、球審の両手が広がると、すかさず米国のマイク・ソーシア監督がビデオ判定を要求した。しかしテレビのモニターに映し出された映像では、タッチを掻い潜って山田の右手がわずかにホームプレートを掃いていた。

稲葉監督「“スピード＆パワー”と掲げてきた」

「日本の野球というのは、私は投手を中心にした守りの野球、そこから攻撃に移るという野球を掲げてきました。よくスモールベースボールという表現をします。でも私は自分たちの野球としては“スピード＆パワー”と掲げてきた」

　稲葉篤紀監督が定義する侍ジャパンの野球であり、そしてこの五輪の舞台で日本代表が見せてきた野球とはまさにこの定義通りの野球だったのである。

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