Jをめぐる冒険BACK NUMBER
修羅場でさらに強めた“U-24日本代表の結束”「晃生のアシストあってこそ」「DF陣に申し訳ない」「点を取って助けてもらったので」
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2021/08/01 17:03
120分間の苦しい展開、そしてPK戦を乗り切った。若き日本代表の結束と信頼は、日に日に頼もしさを増している
板倉、中山、吉田も自信を持って
2人目のキッカーとして登場したのは、PKのうまさに定評のある板倉滉。「決められる自信があったので、蹴りたいと言いました」という言葉どおり、相手GKを先に動かし、ゴール左にしっかりと突き刺した。
3人目のキッカーとなった中山雄太は、弱冠20歳の守護神に感謝した。
「僕が蹴るタイミングでは(GKの谷)晃生がアドバンテージを作ってくれたので、晃生のアシストがあってこそだったと思うし、楽な気持ちで蹴れました」
4人目は、意外にも公式戦でPKを蹴るのは初めてだという吉田である。
「だからある意味、外したことがなかったんですけれど(笑)。(緊張は)しますよ。するでしょ、あの感じ(笑)。ただ、晃生が2本止めてくれていたし、(遠藤)航も『1本は外していいですよ』と言ってくれていたので、もうココ! と決めたところに蹴りました」
川口コーチに送り出されて「ヒーロー」になった谷
そして、殊勲のヒーロー、谷だ。PK戦に突入する前、川口能活GKコーチから相手キッカーのデータを見せられたという谷は「一応、見たんですけど、全然頭に入ってこなくて」と苦笑した。
「でも、『お前の直感を信じてやれば、絶対にヒーローになれる』と言われて、送り出してもらいました」
谷が相手の2人目のキックを右に飛んで弾き出した瞬間、日本に勝機がグッと近づいた。
5人目のキッカーは遠藤航で、6人目は久保建英だったようだ。しかし、彼らに順番が回ってくることはなく、日本は準決勝への切符を掴み取った。
それにしても、吉田が何度も「よく耐えた」「よく我慢した」と振り返ったように、苦しいゲームだった。
ニュージーランドは5バックにして守備を固めたうえで、中盤の3人が遠藤、久保、田中碧をマンツーマン気味でマーク。さらに2トップにして日本のセンターバック、吉田と冨安健洋に圧力を掛けてきた。
グループステージ3連勝の日本チームを、綿密に分析しているのは明らかだった。