Jをめぐる冒険BACK NUMBER
修羅場でさらに強めた“U-24日本代表の結束”「晃生のアシストあってこそ」「DF陣に申し訳ない」「点を取って助けてもらったので」
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2021/08/01 17:03
120分間の苦しい展開、そしてPK戦を乗り切った。若き日本代表の結束と信頼は、日に日に頼もしさを増している
「今日は守備陣が我慢する展開だったなと」
久保がマークを引き連れてサイドに流れ、入れ替わるように中に侵入してきた堂安律に31分、34分と2度のシュートチャンスが訪れたものの、ゴールを割ることができない。
いずれもパスが少しズレていて仕方のない面もあったが、堂安は「今日はディフェンス陣には申し訳ない気持ちでいっぱいです」と反省の弁を口にした。
だが逆に、この日は守備陣が攻撃陣を助ける番だったと遠藤は言う。
後半は攻め込まれる場面が増えたが、相手の攻撃を吉田が、冨安がなんとか跳ね返し、遠藤が身体をはってこぼれ球を回収するなど、最後まで集中を切らせることはなかった。
「グループリーグでは散々、前の選手に点を取って助けてもらったので、今日は自分たち守備陣が我慢するゲーム展開だったなと」
攻撃陣と守備陣が互いに支え合い、信頼し合っている――。
こうした関係性が、今のチームにはしっかりと築かれている。
久保の言葉が象徴するまとまりの良さと、総合力
チームのまとまりの良さは、久保のこんな言葉からも窺える。
「これまでの3試合はたまたま僕がヒーローみたいな感じで取り上げられていますけど、勝てばいいので、本当に。自分が1点取って1-3とかで負けるより、0-0でPK戦、谷選手が止めてくれて、吉田選手が決めてくれて、自分の番が回って来なくても、こんなに嬉しいことはない」
森保一監督は何度も「総力戦」だと話してきたが、このニュージーランド戦は、まさにチームの総合力が問われるゲームだった。
出場停止で欠場した酒井宏樹の穴は「酒井選手がいなくて負けたと言われるのは嫌だった」という橋岡大樹がしっかりと埋め、2戦目までセンターバックを務めた板倉は「チームを助けたかった」という思いを胸に、途中出場でボランチをこなした。旗手怜央はこの日もサイドバックとサイドハーフの両方をこなし、指揮官の起用法の幅を広げた。
唯一、延長戦から登場した三笘薫の元気のなさが気になるが、準決勝と決勝で稀代のドリブラーに見せ場がやってくることに期待したい。頂点に駆け上がるには日替わりのヒーローが必要となる。Jリーグを代表して選ばれていることを忘れずに、自信を持って仕掛けてほしい。