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東京五輪代表、優勝候補スペインとどう戦う? 中西哲生が徹底解説「ホンジュラス戦から注目すべき」“4人のキーマン”とは
text by
中西哲生+戸塚啓Tetsuo Nakanishi + Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2021/07/16 17:01
12日にU-24ホンジュラス代表と対戦したU-24日本代表。吉田と堂安の得点で3-1と勝利した
2列目の左サイドのポジションでは、相馬勇紀と三笘薫の起用も見込まれています。ドリブル突破に特徴のある彼らふたりは、試合途中からの出場で対戦相手を悩ませることもできます。三好も「個」で違いを生み出すことができますが、彼は全方位からのプレッシャーに強い。タッチラインを背にしていないポジションでも、苦もなくプレーできる。相馬と三笘とのプレースタイルの違いから判断して、三好をスタメンで起用する考えは成り立つでしょう。
堂安、久保、三好と左利きの選手が2列目に並ぶことになりますが、流れに応じてポジションチェンジをしていたように、窮屈さを感じさせなかったのも、この試合で明らかになったポジティブな要素です。
林の「泥臭いプレー」がチームの長所を引き出す
1トップで先発した林大地のパフォーマンスも、評価に値するものでした。身長が180センチに届かない彼ですが、マッチアップするDFの懐に入ってボールを収めていました。そのポストプレーによって、2列目の3人が前を向いて仕掛けることができていたのです。
堂安が決めたチームの2点目を巻き戻すと、DFを背負いながらワンタッチで堂安へつなげた林のプレーに行き着きます。彼自身もシュートチャンスはあっただけに、無得点に終わった悔しさはあったでしょう。それでも、上田綺世がケガで五輪の開幕に間に合うのかが微妙で、前田も脳震盪の影響で出遅れていたなかで、林の好パフォーマンスは森保監督を安心させたのではないでしょうか。バックアップメンバーと本登録メンバーの入れ替えがフリーとなり、当初はバックアップメンバーだった林を、五輪で起用することが可能となっているからです。
私はプロ入り前の大阪体育大学在籍時から、林選手を見てきました。相手守備陣の嫌がるプレーができ、虎視眈々と相手のミスを狙うタイプでした。一見すると脈略のないところからでも得点できる選手で、分かりやすい表現を使えば「意外性」があります。泥臭いプレーでチームメイトの長所を引き出す彼は、2列目の3人とのセット起用という選択肢を示したのでした。
テンポとリズムを生む「遠藤航×田中碧」
個人ではなくブロックとして見ると、ダブルボランチの働きは特筆すべきものがありました。遠藤航と田中碧のふたりです。
どちらもボールをさばくことができ、自ら持ち出すことができ、守備ブロックの間で受けることもできる。ポゼッションの局面でパスワークから隠れず、受けたボールを簡単に下げないので、ボールの動かしかたにテンポとリズムが生まれているのです。