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オナイウ阿道が日本代表「1トップ候補」へ…“東京五輪世代の合流直前”に「アピールに成功した選手」はだれだ?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2021/06/16 11:05
15日のキルギス戦では、代表初先発のオナイウ阿道がハットトリックの活躍を見せた
3対1で迎えた後半は、追加点を生み出すまでに時間を要した。GK川島永嗣からの「揺さぶれ! 狭くなるな! 動かせ! 広く! 我慢しろ!」といった指示が絶えない。5バックで自陣にブロックを作るキルギスに対して、同サイドや足元へのパス交換が多くなり、攻め急ぐ場面が続いたからだった。
4点目が生まれたのは72分だった。坂元達裕の右CKを、途中出場の佐々木翔がヘディングで合わせた。
セルビア戦に続いて、リスタートからネットを揺らした。ゴールシーン以外にも、工夫を凝らしていた。5月末から活動してきたことで、セットプレーにも時間を割くことができたのだろう。CKやFKから得点を奪えるのは、チームの助けになる。いい傾向だ。
この試合ではシステム変更にもトライした。68分、オナイウを下げて佐々木を投入し、4バックから3バックとした。4-2-3-1から3-4-2-1とした。
キルギスに攻め込まれることがほぼなかったため、守備については見極めが難しい。一方で攻撃は、システム変更でタテへのスピード感が増した。2シャドーの一角に入った古橋亨梧の推進力が要因で、77分に浅野拓磨が決めた5点目も彼のアシストによるものだった。
「局面で戦う、切り替えを早くする」が徹底されていた
U-24日本代表と対戦した6月3日以降の4試合は、「選手層の底上げ」がメインテーマだった。しかし、カタールW杯アジア2次予選の3試合はもちろん、セルビアも若手の多いチームだった。強豪相手に経験を積むことができなかったので、試合結果をそのまま個人の評価へ結びつけることはできない。
そのなかでも、ポイントをおさえた戦いはできていた。
森保監督が口にするサッカーの原理原則──局面で戦う、切り替えを早くするといったことは、どの試合でも徹底されていた。無観客のスタンドには、ボールを奪い合う激しい衝撃音が響き渡った。プレーの強度についても、相手のレベルに合わせることなく自分たちの基準が意識されていた。
不用意な反則を犯すこともなかった。7日のタジキスタン戦に続いてCBのコンビを組んだ昌子源と中谷は、相手FWに厳しく対応しつつもファウルを抑えている。自陣で直接FKをできる限り与えない守備は、最終予選でより重要になってくるものだ。