バレーボールPRESSBACK NUMBER
初めてワクチンを接種した日本人アスリート? イスラエル帰りの野瀬将平に聞いた異国の感染対策と「紛争」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byShohei Nose
posted2021/06/01 17:00
ハポエル・クファルサバ(イスラエル)のチームメイトと写真に収まる野瀬将平
感染がピークだった今年1月には新規感染者数が1万人に及ぶ日もあったが、ワクチンの普及とともに感染者数は減り、4月22日には10カ月ぶりに1日の死者数が0となった。
野瀬は昨年9月にイスラエルに渡った当初、感染対策の日本とのギャップに驚いた。イスラエルでは、外出時にマスクをしていないと罰金が科されたが、普段はあごマスクで、取り締まる警察官が来た時だけ素早く着用する、という人も多かったという。
「結構テキトーなんだなと。日本ではどこにでも消毒液が置いてあるけど、イスラエルはそうじゃないですし。これだけ感染者が多い国にいるのに、と怖さはありました。チームメイトは手も洗わないですし。彼らと毎日練習しているし、ルームメイト2人と一緒に住んでいるので、僕がどれだけ(感染予防を)やっても、どこかでかかるんだろうなと思っていました」
実際チーム内に感染者が確認されたことがあったが、野瀬は幸い感染しなかった。
副反応は風邪をひいた感じ
そんな中、野瀬は2月3日に1回目、2月28日に2回目のワクチン接種を行なった。ワクチンの有効性を疑ったり、副反応を恐れて接種しない選手もいたが、野瀬は「打ちたーい!って感じでした」と言う。
「打つことで自分がかかりにくくなるなら、そりゃあいいなと思って。日本では早くても(高齢者以外は)7月ぐらいだと聞いていたので、これはもう打つしかないだろう、と。イスラエル人、ポーランド人のルームメイトと3人で受けに行きました。就労ビザを持っていたからかもしれませんけど、外国人でもパスポートを見せれば普通に受けることができました」
副反応は「重くはなかった」が、ないわけではなかった。1回目は、接種した左肩に筋肉痛のような痛みが出ただけだったが、2回目は明らかに「体がキツイな」と感じた。
日曜日の夜に接種し、それから20時間ほど経った月曜日の16時頃、異変を感じた。
「風邪をひいた時のように、節々が痛くなったり、悪寒がしたり。熱はなかったんですけど。ルームメイトの2人も同じような状態でした。その日の夜は練習があったので、監督に3人で訴えたんですけど、『あーワクチンのせいだね。寝たら治るよ』って言われて(苦笑)。みんなそうだったみたいです」
火曜日が試合だったため練習には参加し、サーブレシーブ練習などは行ったが、体が辛くてゲーム形式の練習は休んだ。ただ監督の言った通り、翌日には回復した。野瀬の周りでは、それ以上に重い症状が出た人はいなかったという。