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初めてワクチンを接種した日本人アスリート? イスラエル帰りの野瀬将平に聞いた異国の感染対策と「紛争」
posted2021/06/01 17:00
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Shohei Nose
コロナ禍の中、今年たびたび話題に挙がるようになった国がある。イスラエルだ。新型コロナウイルスの感染状況が一時は最悪の水準に陥りながら、迅速なワクチンの普及により、急速に収束に向かった。
その急激な変化を、現地で体感した日本人アスリートがいる。プロバレーボール選手の野瀬将平である。
リベロの野瀬は昨年、V.LEAGUE DIVISION1(V1)のFC東京を退団し、イスラエルリーグのハポエル・クファルサバに移籍した。
野瀬にとっては出場機会を増やすための海外移籍だった。最初はヨーロッパのチームを探したが、コロナ禍の影響もあって話がまとまらず、最終的に正式オファーがあったクファルサバに入団した。
イスラエルには「危ない、怖いというイメージがあった」と言う。ただクファルサバには過去に元Vリーガーの今村駿、南早希、中村亜友美が在籍していたことが安心材料になった。彼らに話を聞いたり、イスラエルの日本人交流会とも連絡を取って情報収集した。
野瀬が生活面以上に心配したのはリーグのレベルだ。いくら試合に出られても、レベルが低すぎては成長につながらない。
「やっぱりバレーボールをしに行くわけですから。例えば、強いジャンプサーブやスパイクを受けたいと思って行くのに、全員フローターサーブだったら困るなって(苦笑)。でも今村さんや中村さんに話を聞いたり、映像を見て、ある程度のレベルだなとわかった。日本(V1)よりは高くないけど、試合に出続けてやるにはいい。それにヨーロッパのCEVチャレンジカップにも出られたので、それはいい経験になるなと思って」
27歳の野瀬にとって初めての海外生活。日本とは違った習慣や文化に面食らうことも多く、「諦める力が身につきましたね」と笑う。