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阪神大賞典出走アリストテレス、“コントレイルのクビ差2着”の実力は? ルメールが明かすAJC杯で感じた問題点
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byKyodo News
posted2021/03/20 17:00
昨年の菊花賞で無敗三冠を達成したコントレイルと接戦を繰り広げたアリストテレス(右)
ルメールがアメリカジョッキークラブCで感じた懸念点
こうして迎えた今年の初戦は1月24日、中山競馬場で行われたアメリカジョッキークラブC(GII)となった。
菊花賞から約3カ月ぶりの実戦で体重はまたも増えて478キロ。デビュー以来、最も重い馬体重となったこの一戦で、アリストテレスは1番人気に支持された。菊花賞3着で中山競馬場の弥生賞勝ちがあるサトノフラッグが2番人気、ダービー3着のあるヴェルトライゼンデが3番人気に推されたが、やはりコントレイルのクビ差2着という実績は強烈な名刺代わりとなり、単勝2.4倍で最も支持を得たのである。
そして、結果で彼は応えてみせた。2着のヴェルトライゼンデに半馬身の差をつけ、ルメール騎手を背に先頭でゴールイン。自身初の重賞制覇を飾ったその走りを鞍上に振り返ってもらうと、まずは当日の馬場状態が「味方した」と口を開いた。
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「当日は不良馬場でした。2200メートルのレースだったけど、菊花賞で2着した馬なので、出来たらスタミナ勝負になった方が良いと考えていました。そういう意味で、道悪になったのは好材料だと感じました。もちろん道悪自体をこなしてくれないとダメですけど、そのあたりは過去に騎乗した時の感覚から大丈夫だろうと思っていました」
経験則からくるそんな予測が的を射ていた。ルメール騎手は改めて語る。
「実際、不良馬場自体は問題なく走ってくれました。だから4コーナーでは“勝てる”と思える手応えでした」
そこまで言うと「ただ……」と続けた。
「道中は決して集中して走っていたわけではありませんでした。このあたりがもっとしっかりしてきてほしいです」
天皇賞(春)に向けて結果が求められる
それから約2カ月ぶりの競馬となるのが今週末の阪神大賞典だ。17日、水曜日の朝には最終追い切りが行われたが、ルメール騎手は跨らず音無厩舎所属の松若風馬騎手が手綱を取った。3頭併せを先行する形でスタートを切ると、一度馬体を並べたものの最後は再び突き放し、最先着で入線。状態の良さを窺わせる動きを披露した。
「天皇賞は更に相手が強くなるのでここで下手な競馬は出来ません」
ルメール騎手はそう語る。その通りだろう。盾獲りを目指すには今回、それなりの結果を求められる。大目標へ良い形で進めるよう、ルメール騎手の手綱捌きとアリストテレス自身の走りに注目したい。