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今の錦織圭ならジョコビッチやナダルと「多少はやれる」 突然“ショット感覚の復活”が訪れた理由
text by
長谷部良太Ryota Hasebe
photograph byGetty Images
posted2021/03/09 06:00
ロッテルダムで挙げた2勝は、錦織圭にとって大きなプラスとなったようだ
気持ちの面だけでなく、2回戦までの激しい動きによる疲労もプレーの精度に影響があったようだ。
「多少は重さもありましたね。ディフェンスが今日は最高ではなかったし、簡単にミスを与えてしまったかなと思います」
ただ、昨年の全仏オープンで痛めた右肩については「問題なかった」と言い、サーブのフォーム改良に一定の成果が出ていることも窺わせた。
ナダルやジョコ相手でも「多少はやれる」
4強以上に進めなかったのは残念だが、「アップダウンがあるのは、まだしょうがない」と本人も割り切っている。何より、昨秋に復帰してから必死で取り戻そうと努めてきたショットの感覚をつかめたのは、最大の収穫になった。「復調への階段」があるならば、錦織はこの1週間のうちに数段飛ばしで駆け上がったと言っていい。
準々決勝後のオンライン記者会見で、最後に尋ねた。ジョコビッチやナダルと今の状態で対戦したらどうなるか、以前より楽しみになってきたか、と。
「そうですね。多少はやれるだろうなというのは、やっと出てきましたね。オーストラリアくらいまでは厳しいだろうなと、なかなか絵が見えなかったので。それがだいぶ今週で自信はついたかなと思います」
敗戦直後にもかかわらず、気落ちする様子を見せず前向きな言葉を続ける錦織の姿は、今後への期待を大きく膨らませた。