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今の錦織圭ならジョコビッチやナダルと「多少はやれる」 突然“ショット感覚の復活”が訪れた理由
text by
長谷部良太Ryota Hasebe
photograph byGetty Images
posted2021/03/09 06:00
ロッテルダムで挙げた2勝は、錦織圭にとって大きなプラスとなったようだ
「焦らずプレーできたことですかね。守りだけにならず、しっかりボールも飛んでいましたし。オーストラリアでは焦りもあって自分から攻めすぎたりもしていたけど、その辺がなくなったので、自分のテニスが戻ってきている感はありました」
派手なショットではなく、自分らしい形でポイントを重ねられたことが一番の手応えだった。
デミノー相手に立て直した最終セット
ノーシードの宿命もあり、2回戦もタフな相手だった。
世界23位の22歳アレックス・デミノーは、錦織が世界7位で臨んだ2019年全米オープン3回戦で番狂わせを演じられた相手。錦織が「ツアー最速の1人」と警戒した通り、驚異的なフットワークでどんな球にも食らいつく粘りがある。それでも、1回戦の調子を維持していた錦織は第1セットを6-3で先取。集中が続かなかったのか、第2セットはミスが増えて2ゲームしか奪えず落としたが、相手の靴に穴が空くほど走らせてもいた。
最終セットはうまく立て直した。得意のリターンから伸びのあるショットを続けてデミノーの体勢を崩し、第2ゲームで相手のサービスゲームをブレーク。その後は相手のしつこさにミスを誘われてブレークされる場面もあったが、6-5の第12ゲームは見事なリターンからフォアを軸に組み立ててオープンコートを突き、ブレークで締めた。
「もうなんか、何となく確信的な感じに」
両者ともトータルポイントは91ずつと全くの五分で、要所を抑えた錦織に軍配が上がった。1回戦に続いて内容も良く、またもや成長盛りの若手を退けた。試合後、「『自分のテニスが戻ってきてる感』がさらに強まったのでは」と問うと、今度は予想通りの答えが返ってきた。
「そうですね。もうなんか、何となく確信的な感じに。ボールの感覚がないっていう感じはなくなったので」
自信は、確信に変わりつつあった。