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「中6日なら15球×9回の135球」桑田真澄コーチの指導で「完投」を期待、2人の20歳“右の本格派”とは
 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph bySankei Shinbun

posted2021/02/02 17:04

「中6日なら15球×9回の135球」桑田真澄コーチの指導で「完投」を期待、2人の20歳“右の本格派”とは<Number Web> photograph by Sankei Shinbun

キャンプ初日にノックも披露した桑田真澄投手チーフコーチ補佐

右の本格派の若手2投手への期待

 そしてその他の場合は9回はおろか、菅野以外の多くの投手が5回前後で100球に到達して、その時点で制球力や球威が落ちて交代せざるをえない投球内容になっていた。

 この傾向は先発陣のほとんどの投手に見られたもので、自ずと巨人の投手戦略は、先発を早めにスイッチして継投で逃げ切るというものとならざるを得なかった。そこで原監督も中継ぎ陣とクローザーを充実させるチーム設計をして、そのリリーフ陣の奮闘もあり連覇を遂げてきたというのが実情なのである。

 理想は135球で完投だが、現実には菅野以外に135球で完投できる投手が見つからない。そしてその原因を突き詰めれば、現時点ではそれだけの技術と体力のある投手がいないということに尽きる。

 そう考えると桑田コーチの仕事は明確だ。

 自らが発案する15×9の135球完投を目指せる投手をどれだけ作れるか。そして桑田コーチの加入で俄然、飛躍が期待されるのが、戸郷翔征と直江大輔という投手・桑田真澄と同じ右の本格派の若手2投手なのである。

直江も開幕前には支配下復帰できる可能性が

 ご存知のように戸郷は2年目の昨シーズン、ローテーションの一角を担って開幕から8月末までに7勝2敗を記録。最終的にも9勝6敗の成績で防御率は2.76という結果を残した。菅野が自らの後継者として指名した将来のエース候補と言われる逸材だ。

 一方の直江も一軍初登板を果たした昨季は、3試合に登板しただけで未勝利に終わったが、切れのあるスライダーと外角低めに制球されたストレートの威力は将来性十分。9月21日の広島戦で勝利投手目前の5回1死まで広島打線を2点に抑える好投も見せた。

 その後、9月28日に持病となっていた椎間板ヘルニアの手術を受け、昨オフには治療に専念するために育成選手として再契約。ただ手術後の経過も順調で、キャンプではブルペンに立てる見込みで、開幕前には支配下復帰できる可能性が見えてきている。

【次ページ】 巨人の“第7世代”やドラフト組への“桑田効果”

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