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「中6日なら15球×9回の135球」桑田真澄コーチの指導で「完投」を期待、2人の20歳“右の本格派”とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySankei Shinbun
posted2021/02/02 17:04
キャンプ初日にノックも披露した桑田真澄投手チーフコーチ補佐
「15球×9回の135球で完投を目指して欲しい」
「成長期の学童、学生野球では量を追い求める練習は良くないと思っています。しかし身体の出来上がったプロ野球選手は、ある程度、体に染み込ませていく作業も大事。25、26歳くらいまでのピッチャーには、よく投げてよく走ってもらいたいなと思っています」
こう語る背景にあるのが、就任直後に明らかにした先発投手への完投指令だ。
「中6日で投げる先発投手は1イニング15球×9回の135球で完投を目指して欲しい」という要求は、実は以前から原辰徳監督も投手陣に掲げていたテーマでもある。
メジャーでは100球をメドに投手交代を行うのがスタンダードだが、それはローテーションを中4日で回すことによる、肩や肘への負担を考えて弾き出された球数でもある。
「中6日もあって100球しか投げないというのは、ちょっと違うと思うね。100球で交代するなら、中5日か中4日で先発投手は投げてもらわないと。そうでなければ先発投手は130球くらいは投げられるはず。それぐらいの強さをピッチャーには求めたい」
以前から原監督もこう語っていた。
完投は4試合で、そのうち3回が菅野
もちろん計算上は巨人の投手陣もそうなるはずだった。
だが実際問題としては、巨人のローテーションは中4日にもならなかったし、かと言って130球前後を投げて完投する投手がいたかといえば、ほぼそうではないのが実情だ。
昨年の先発陣の完投は全部で4試合。そのうち3回がエースの菅野智之投手によるもので、残りの1回は畠世周投手が11月1日のヤクルト戦で記録したものである。
あとは11月3日に延長10回で引き分けた広島戦で、戸郷翔征投手が9回まで1人で146球を投げ抜いて、ほぼ完投に近い投球内容だったことがある。ただ、この広島戦も2対0でリードしていた9回に完封勝利目前の戸郷が力尽きて追いつかれたものだった。