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【祝26歳】南野拓実、リバプールで“脱・便利な控え”へのヒント… 岡崎慎司はどうレスターで序列を上げたか
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2021/01/17 11:00
クラブの規模感は違うとはいえ、南野拓実(左)は岡崎慎司のように“自分らしい役割”を見出すことで、リバプールでの立ち位置を築きたい
「個の力が化け物みたいな選手」の中で
在籍1年目の2015-16シーズンに「奇跡のリーグ優勝」を成し遂げ、翌シーズンは欧州最高峰の舞台であるチャンピオンズリーグにも出場した。レスターでのキャリアは順風満帆に映ったかもしれないが、「個の力が化け物みたいな選手ばかり」(岡崎)というプレミアリーグにおいて、岡崎の試行錯誤は在籍4年の間ずっと続いた。
レスターとリバプールでは当然、クラブと選手のレベルが大きく違い、一概に比較はできない。だが、ポジション争いに揉まれながら結果を残そうと奮闘した岡崎の戦いぶりは、プレミアリーグに挑戦する日本人選手にとって間違いなく大きな財産だ。
やるべきことを徹底して貫いた凄み
岡崎の凄みは、自身の長所を客観的に捉え、やるべきことを徹底して貫いたことだ。チームにとって何が必要か、そして自分のアピールポイントはどこか。常に思考を張り巡らせながら4、5人のFWとポジションを争って結果を掴んできた。
加入当初から誤算続きだった。入団時には、岡崎の獲得を決めたナイジェル・ピアソン監督が開幕直前に突如解任された。ドイツのマインツから動向を追い、レスターに必要な人材だと補強を決断したイングランド人指揮官がいなくなり、FWのポジション争いはゼロからのスタートになった。
「他にやっている選手がいない」ハードワーク
当時のレスターには、スピードのジェイミー・バーディー(イングランド)、高さのレオナルド・ウジョア(アルゼンチン)、技のアンドレイ・クラマリッチ(クロアチア)、岡崎の合計4人のFWがいた。
個の力ではライバルたちに勝てないと判断した日本代表は、「ほかにやっている選手がいなかったから」との理由で、ハードワークと前線からの守備でアピール。ディフェンスに重きを置くイタリア人のクラウディオ・ラニエリ新監督の信頼を掴み、開幕戦からレギュラーに抜擢された。
だが、先発メンバーに名を連ねるようにもなっても、絶対的な立ち位置を築くことができなかった。自身のプレー内容に関係なく、チームの調子が悪いと真っ先に交代を命じられたのが岡崎だった。