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【祝26歳】南野拓実、リバプールで“脱・便利な控え”へのヒント… 岡崎慎司はどうレスターで序列を上げたか
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byGetty Images
posted2021/01/17 11:00
クラブの規模感は違うとはいえ、南野拓実(左)は岡崎慎司のように“自分らしい役割”を見出すことで、リバプールでの立ち位置を築きたい
「南野の序列は、モハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネよりも下。だから、彼の出場機会は増えていない。だが、不名誉なことではない。南野はスカッド・プレーヤー(=バックアッパー)として、リバプールにやってきたのだから。ただし、南野がクリスタルパレス戦でリーグ初ゴールを決めた勢いを、リバプールが年末年始の試合で生かせなかったのは残念。2分1敗に終わったリーグ戦で、出番を与えられるべきだった」
ザルツブルク時代の恩師もポリバレント性を評価する
似たような評価を下したのが、ザルツブルクでスポーツ・ディレクターを務めたラルフ・ラングニック氏である。「南野は非常に優秀な選手。イングランド代表のデル・アリ(トッテナム)やドイツ代表のカイ・ハバーツ(チェルシー)と同じように、攻撃的なポジションならどこでもこなせる」とポリバレントな能力を評価しつつ、リバプールでの立ち位置について次のように語った。
「チャンピオンズリーグ(CL)とプレミアリーグのビッグマッチで、リバプールの主力がフィットしていれば、おそらく南野はスタメンに入れない。サブとしては連れていけるだろう。下位チームとのリーグ戦やカップ戦なら、いつでもスタメンに入れる。リバプールにとって貴重なスカッド・プレーヤーだ」
やはり優先起用はサラー、マネ、フィルミーノ
南野が籍を置くのは世界王者のリバプールである。チームのレベルがこれまでにないほど高いことも、選手層が分厚いことも、南野本人が一番よくわかっているだろう。
だが2人の言葉は、現状を言い表している。
実際、クリスタルパレス戦でゴールを決めた後も、クロップ監督の中では序列が上がっていない。その証拠にサラー、マネ、フィルミーノのレギュラー陣は、連戦による疲労の影響でパフォーマンスが見るからに低下していたが、それでもドイツ人指揮官はこの3人を優先的に起用した。
攻撃陣の停滞が目立ったチームは、リーグ戦で2分1敗。そのうちの2試合は無得点で終わっただけに、南野としてもアピールしたい気持ちが強かったことだろう。
だからこそスカッドメンバーの立ち位置から、いかに序列を引き上げていくか──。ここが、シーズン後半戦の最大のテーマになる。
筆者が思い出したのは、レスター在籍時代の岡崎慎司である。