熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
ドゥンガは食糧25トン、ジーコは?
セレソン勇士のコロナ支援が物凄い。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byREUTERS/AFLO
posted2020/04/30 08:00
力強い腕で食糧を自ら運ぶドゥンガ。セレソンやジュビロ磐田を統率したリーダーシップはいまだ絶大だ。
宿敵の主力も招集して配送作業。
そして元ブラジル代表ボランチの闘将ドゥンガは言わずと知れた1994年W杯の優勝メンバーで、1995年から98年までジュビロ磐田でも活躍した。そんな彼も特筆すべき活動をしている。
自身が住むブラジル南部ポルトアレグレで農業生産者、商店、州選手協会などに呼びかけて食糧を集め、市内の慈善団体を通じて貧困家庭に届ける活動を開始。まず10トンを集め、4月7日、配送作業を指揮した。
出身クラブであるインテルナシオナルの選手にも協力を呼びかけ、元アルゼンチン代表MFアンドレス・ダレッサンドロ、元ブラジル代表MFティンガ(1999年に川崎フロンターレでもプレー)ら新旧スターが配送作業に汗を流した。
その後さらに15トンの食糧を集め、4月22日にはインテルナシオナルの宿敵グレミオの主力選手4人(ブラジル代表CBジェロメウを含む)にも配送作業を手伝わせた。
20年前から貧困家庭の支援活動。
ドゥンガはこのようなメッセージも発信している。
「私は仲間に呼びかけて自分のセレソン(ブラジル代表)を立ち上げ、困っている人たちを助けようとしている。皆さんも、各々、自分のセレソンを組織し、周囲の人を助けてあげてほしい」
実はドゥンガ、すでに20年前から地元の貧困家庭の子弟にスポーツ、音楽、コンピュータ、ダンス、図画工作などを楽しんで学ぶ機会を提供する活動を続けているのだ。社会的弱者を助けようという気持ちは、筋金入り。
それでいて周囲の人々を強引に巻き込む力も大変なもので「さすが闘将」と舌を巻くほかない。
2016年コパ・アメリカで敗退してブラジル代表監督を解任されて以来、浪人を続けている。彼にはまた指導者として手腕を発揮してもらいたい(僕は彼の知見、人間性、リーダーシップがあれば、成功すると確信している)。