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ドゥンガは食糧25トン、ジーコは?
セレソン勇士のコロナ支援が物凄い。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byREUTERS/AFLO
posted2020/04/30 08:00
力強い腕で食糧を自ら運ぶドゥンガ。セレソンやジュビロ磐田を統率したリーダーシップはいまだ絶大だ。
ファルカン、セレーゾ、ジーコも。
1982年W杯で「フッチボール・アルチ」(芸術的フットボール)を披露して、世界中のファンを魅了した伝説の男たちも立ち上がった。
4月11日にファルカン(元日本代表監督)、ジーコ(元鹿島アントラーズ選手・監督、元日本代表監督)、トニーニョ・セレーゾ(元鹿島監督)、オスカール(元日産自動車選手・監督、元京都パープルサンガ監督)ら20人が、リオのNGO団体が行なっている貧民街の母親約2万人を支援する運動への寄付を呼びかける動画を発表したのだ。
この動画でファルカンはこう語りかけている。
「1982年のセレソンは、創造性、団結力、組織力が素晴らしく、今でも人々の記憶に残っている。今、このチームが貧民街の母親たちを援助するために再び始動する」
そして他の選手が口々に協力を要請した後、最後にジーコが「我々の闘いに皆さんも加わって」と呼びかけてもいる。
宿敵イタリアのレジェンドも呼応。
さらにファルカンは1982年W杯準々決勝でブラジルを倒し、この大会で優勝を遂げたアズーリ(イタリア代表)の選手たちにも声をかけた。
かつての名MFブルーノ・コンティ、ブラジル戦でハットトリックを記録したパウロ・ロッシら12人が呼応して「ブラジルの困っている人たちを助けてほしい」と訴える動画を発表したのだ。
世界のフットボール史に燦然と輝く好勝負から38年。レジェンドたちが、社会的弱者に手を差し伸べるため、再び集合したのである。
これに続いたのが現役セレソンだ。
4月21日、ブラジルサッカー連盟が役員やセレソンの選手、コーチングスタッフら約60人から寄付を集め、これに連盟からの供出金を加えた500万レアル(約1億円)で食糧、衛生用品などを購入。新型コロナウイルスの拡大で苦しむ全国各地の貧困家庭を援助すると同時に、国民からの寄付を募ると発表した。
このプロジェクトは「連帯のセレソン」と名付けられ、チッチ監督の他、ネイマール、CBチアゴ・シウバ(いずれもパリ・サンジェルマン)らがこぞって協力した。