熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
ドゥンガは食糧25トン、ジーコは?
セレソン勇士のコロナ支援が物凄い。
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byREUTERS/AFLO
posted2020/04/30 08:00
力強い腕で食糧を自ら運ぶドゥンガ。セレソンやジュビロ磐田を統率したリーダーシップはいまだ絶大だ。
セレソンという「魔法の言葉」のもと。
連盟のロジェリオ・カボクロ会長は「フットボールは、我々ブラジル人の生活と切っても切り離せないもの。この困難な時期に困っている人を助けるのは大きな意味があると考えた」と説明。ネイマールも「多くの人が僕たちの助けを必要としている」と動画で訴えている。
「セレソン」というポルトガル語は、英語の「セレクション」に該当する。
本来は「選抜チーム」という意味でしかないが、この国ではフットボールが群を抜く人気スポーツであることから、一般に「フットボールのブラジル代表」を意味する。
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すべてのブラジル人にとって、「セレソン」という言葉そのものが憧れにして誇りであり、「魔法の言葉」と言っていい。
それゆえドゥンガ、ファルカン、ブラジルサッカー連盟がこの「魔法の言葉」を前面に押し出し、国民に連帯と協力を呼びかけているのである。
ブラジル政府は低所得者と零細企業に対して3カ月間、援助をすると発表している。しかし「対象があまりに狭く、金額も不十分」という批判が多い。
今回に限らず、この国の人々の社会的弱者への思いやりには感心することが多い。その一方で、彼らの善意に溢れた貴い行動は、政府や地方自治体による社会福祉が十分でないこと裏返しなのだろうと感じている。