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賞金女王・鈴木愛の“職人的クラブ”。
「新しくて飛ぶ」より重視するもの。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/02/28 12:00
昨季最終戦、リコー杯女子ゴルフを通算5アンダーの5位タイで終え、2年ぶり2度目の賞金女王に輝いた鈴木愛。年間獲得賞金は1億6018万9665円。
頑なに旧2.0シリーズを手放さない。
ドライバーは低スピンで強い弾道のG410LST。フェアウェイウッドもG410シリーズの3番と7番を選択している。
ただユーティリティーは旧タイプのG400の4番と5番。アイアンはソリッドなi210シリーズでウエッジはやはり旧タイプのグライド2.0の50度、54度、58度の3本というセッティングだ。
目立つのは全てが最新シリーズではなくユーティリティーとウエッジは旧モデルを継続して使っていることだろう。ウエッジも最新の3.0シリーズは「スピンがかかり過ぎる」と、頑なに旧2.0シリーズを手放そうとはしない。
自分のイメージと合うかどうか。
今年の箱根駅伝など陸上長距離競技では、新記録ラッシュの秘密兵器としてナイキ社製の厚底シューズ「ヴェイパーフライ」の話題で持ちきりとなった。
マラソンシューズだけでなく、スポーツにおける道具は、競技者の力を引き出し、ときには弱点を補う補助的な役割をも担うものとなるはずだ。
ゴルフクラブも新しいモデルは飛距離性能やスピン性能など、さらに進化したものが次々とラインアップされ、どんどんゴルファーの手助けをしてくれるものとなっていく。
「いろんなクラブがあって飛距離の出るものも、もちろんあるんです」
鈴木もその点はうなずく部分だ。
「特にユーティリティなどはG410がすごく飛んでいいんですけど、私はむしろ自分の描いている高さとか初速とかがバッチリ合うものじゃないと嫌なんです。G410のユーティリティーは飛ぶし高さも出るし、いいんです。でも自分のイメージと(弾道が)少し違う」
鈴木が道具に求めるのは自分の持っている技術を正確に映し出し、そのイメージ通りの軌道を作ってくれる“鏡”のような役割なのである