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恩師が明かす渋野日向子の高校時代。
一度だけ叱った「OLになります」。
posted2019/08/23 11:30
text by
石倉利英Toshihide Ishikura
photograph by
Toshihide Ishikura
「勉強も部活も、何事もそつなく、一所懸命やっていました。ひと言で言えば『手のかからない子』でしたね」
岡山県作陽高校の外部指導者としてゴルフ部の監督を務める田渕潔氏は、いまや時の人の高校時代を、こう振り返る。8月上旬のAIG全英女子オープンで、日本人女性として42年ぶりの海外メジャー大会優勝を成し遂げたプロゴルファー、渋野日向子だ。
県北部の津山市に校舎を構える作陽高校は、J1サンフレッチェ広島MF青山敏弘など多くのJリーガーを輩出している男子サッカー部のほか、女子サッカー部、柔道部などが全国大会の常連として名高い。ゴルフ部も同様で、特に女子は6人の卒業生がプロのツアー選手(渋野のほかに藤本麻子、西木裕紀子、東浩子、丹萌乃、須江唯加)として活躍している。
高校生活を謳歌、成績も優秀。
同校ゴルフ部は、学校から車で15分ほどの距離にある田渕氏経営の『緑ヶ丘ゴルフ練習場』と、その近くのゴルフコースでの練習に加え、やはり近くにある女子サッカー・岡山湯郷Belleの施設を借りて筋力トレーニングも行うなど、環境が充実している。岡山県出身で、2014年に同校のスポーツコースに入学した渋野も練習に励む日々を過ごしたが、田渕氏はゴルフ漬けになることを、よしとしなかったという。
「生徒が高校時代を振り返って『ゴルフ場に行った記憶しかない』という状態になり、燃え尽きてしまうのは嫌なんです。だから体育祭や文化祭、修学旅行などの学校行事には、なるべく参加するように言っています」
渋野もクラスメイトと高校生活を謳歌しながら、ゴルフの力を伸ばした。スポーツコースに進んだとはいえ、もともと学力で特待生になっており、学業成績は優秀。文武両道を地で行く「手のかからない子」だった。