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賞金女王・鈴木愛の“職人的クラブ”。
「新しくて飛ぶ」より重視するもの。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKYODO
posted2020/02/28 12:00
昨季最終戦、リコー杯女子ゴルフを通算5アンダーの5位タイで終え、2年ぶり2度目の賞金女王に輝いた鈴木愛。年間獲得賞金は1億6018万9665円。
五輪出場にギリギリの成績。
だからこそ自分の失敗が許せず、ミスショットには怒りを隠さない。プレー中に目まぐるしく変わる鈴木の表情の裏側には、自分の技術に対する高い自信とプライドが秘められている。
オリンピックは6月29日までの成績を反映した世界ランキングを基準に、各国上位2名、15位以内に入れば1か国4名までに出場権が与えられる。
2月24日に発表された世界ランキングでは5位の畑岡奈紗、11位の渋野日向子に続いて、鈴木は出場権ギリギリの13位と予断は許さない状況だ。
「日本のツアーで成績を出すのはもちろんですけど、海外の試合で今までトップ10に入ったことがない。そこにも挑戦していきたい」
鈴木の“秘密兵器”とは?
この目標のために、鈴木があえて助けてもらおうと手にする“秘密兵器”がある。ユーティリティーの6番だ。
「海外の試合は距離もあって、グリーンが固い。私の飛距離で6番アイアンだと(グリーンにボールが落ちてから)結構、転がってしまうので、いいショットをしてもなかなかバーディーチャンスにつかないことが多い。
そこに対応するには飛距離と合わせて高さが必要なので、6番アイアンの代わりに6Uをお試しで作ってもらったんです。おそらく海外のメジャーでは使うことになるのかなと思います」
国内では3月5日開幕の「ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメント」から始まる鈴木の2020年。
6月末の五輪出場選手決定までに米国では「ANAインスピレーション」「全米女子オープン」「全米女子プロゴルフ選手権」と3つのメジャー大会が控えている。
そこに鈴木は五輪出場を確かにするための照準を定めている。
秘密兵器を手に乗り込む勝負の3試合。そこで目標を果たせれば――鈴木愛にとっての2020年は、紛れもなく特別な年になるはずである。