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賞金女王・鈴木愛の“職人的クラブ”。
「新しくて飛ぶ」より重視するもの。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph byKYODO

posted2020/02/28 12:00

賞金女王・鈴木愛の“職人的クラブ”。「新しくて飛ぶ」より重視するもの。<Number Web> photograph by KYODO

昨季最終戦、リコー杯女子ゴルフを通算5アンダーの5位タイで終え、2年ぶり2度目の賞金女王に輝いた鈴木愛。年間獲得賞金は1億6018万9665円。

弱点をカバーするより、扱いやすさを重視。

 その1つの証がドライバーに装着しているシャフトだった。

「鈴木プロが使っているのは市販のG410シリーズ用のノーマルシャフトです」

 須藤さんの説明だ。

 鈴木の昨年のドライバーの平均飛距離は242ヤード。スタッツランキングは25位だった。決して飛ぶ選手ではない。

「そういう自分の弱点をカバーするために、飛距離に特化したシャフトを選ぶ選択肢もあると思います。でも鈴木プロはそうではない。弱点をカバーするより、自分の扱いやすさを重視して選んでいるんでしょう」

道具の性能に頼るのではない。

 この点は本人も認めるところだ。

「クラブを替えるときに、多分20本くらいシャフトを持ってきてくれるんです。それで色んなシャフトを試しても、打っている感じとかボールの高さだったり初速だったり……そういうものが自分のイメージに合って、飛距離もある程度出るものを求めますね」

 その結果が飛距離もそこそこだが万人が扱いやすくクセのないノーマルシャフトなのである。道具の性能に頼るのではない。それよりまず自分がどれだけ自在に扱えるかを重視する。

 そこが職人のこだわりだった。

「自分の打っている感覚がまず合って、自分の求めている飛距離、自分の打ちたい球が打てる。見た目とか飛距離にこだわりがないからこそ、自分の打っている感じとかフィーリングをとにかく大事にしたいというのはありますね。クラブに助けてもらうというよりは、自分の打っている感覚に合うもの、自分が操れるものを使おうかなって思います」

【次ページ】 五輪出場にギリギリの成績。

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