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11カ月ぶりカルテットと久保建英。
W杯予選へ向けて理想的な2-0勝利。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/09/06 12:00
やはり日本の1点目は大迫勇也が生み出した。2列目の競争は激化しているが、1トップは1強状態だ。
大迫のフィニッシュは出色だった。
フィジカルのコンディションについては、日本も万全ではなかった。試合間隔も空いている。立ち上がりはスムーズさを欠くことも、想定内だっただろう。
そう考えると、23分で先制したのは上出来である。
相手DFに当たって微妙にコースの変わったクロスを、きっちりとワクへ持っていった大迫のフィニッシュは出色である。さらに加えて、橋本拳人からパスを受けた中島が、自らに食いついた2人をワンタッチで剥がしたことが得点への布石となった。
中島からパスを受けた堂安も、ワンタッチで左サイドへ展開する。スペースを突いた長友はフリーでパスを受け、大迫の先制弾へつながるクロスを供給できたのだった。
森保一監督が求める「連携・連動」は、30分の2点目からも見て取れる。中盤でパスを受けた中島が、右サイドへ走り込んだ酒井宏樹の動きを見逃さずにパスを通す。背番号19がゴール前へクロスを通すと、南野がフリーで押し込んだ。
相手GKはオフサイドをアピールしたが、南野は酒井の動き出しに呼応してファーサイドへ流れていた。1点目と同じように、イメージの共有に基づいた崩しである。
原口元気、植田直通、そして久保建英。
2-0で折り返した後半は、3人の選手交代とともにスタートする。中島が退いて原口元気が2列目の左サイドに入り、酒井宏樹に代わって植田直通がピッチに立つ。植田は右センターバックに立ち、冨安が右サイドバックへスライドした。
もうひとりの途中出場は、久保建英である。新天地マジョルカで公式戦デビューを飾ったばかりの18歳は、堂安に代わって2列目の右サイドに起用された。
右サイドを構成するふたりは、興味深いプレーを披露する。
夏の移籍市場でボローニャの一員となった冨安は、セリエAで右サイドバックを主戦場としている。果たして、この20歳のDFは森保監督に新たな可能性を示す。
ビルドアップから崩しの局面まで、迷いのないプレーで攻撃に関わっていくのだ。酒井との優劣を問う段階ではないが、及第点の出来と言っていい。