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バルサの息の根を止めた5番手FW。
移籍を断りクロップを信じたオリジ。 

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寺沢薫

寺沢薫Kaoru Terasawa

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posted2019/05/08 17:30

バルサの息の根を止めた5番手FW。移籍を断りクロップを信じたオリジ。<Number Web> photograph by AFLO

欠場したサラー、フィルミーノを補って余りある大活躍。オリジはクロップの期待に応えたのだ。

「最も行きたくないスタジアム」

 試合前、あるテレビ番組に出演していたアーセン・ベンゲルが「アンフィールドはリターンレグで最も行きたくないスタジアムだ。欧州で最も熱狂的な場所。雰囲気が違う。すべてが特別なんだ」と言っていたが、その予言通り、やっぱりこのスタジアムには何かがあった。

 選手が整列すると、CLのアンセムをかき消す勢いで『You'll Never Walk Alone』の歌声が鳴り響く。バルサのキックオフで試合が始まり、アウェーチームがボールを回せば、耳をつんざくようなブーイング。それに呼応するように、赤いシャツの選手たちは前から果敢にプレッシングをかけ、ボールへの、ゴールへの渇望を示した。

 その息をのむような雰囲気とリバプールの気勢には、リオネル・メッシやルイス・スアレス、セルヒオ・ブスケッツやジェラール・ピケといった世界最高の選手たちでさえ、完全に飲まれた。アンフィールドの熱気に気圧されたバルサは、らしくないパスミスを繰り返した。

 アンフィールドを恐れていたのだ。

 そして開始7分、バルサのジョルディ・アルバがロングボールの処理を誤った。マネがそのボールを拾い、ジョーダン・ヘンダーソンがゴール前へと飛び出す。リバプールのキャプテンが放ったシュートはGKに弾かれたが、こぼれ球をディボク・オリジが押し込んだ。早い時間の先制ゴールに、スタジアムが揺れた。

アリソンの好セーブがチームを救う。

 それでも、バルサはバルサだ。どんなにうまく試合を運んでも、彼らを90分間ずっと黙らせておくことは不可能だ。

 この日もそうだった。ピンチもあった。だが、そこに立ちはだかったのがGKアリソン・ベッカーだった。先制弾を浴びて目を覚ましたように攻め入ってきたメッシのシュートを、またメッシのラストパスを受けたフィリペ・コウチーニョやジョルディ・アルバのシュートを、ブラジル代表の守護神は次々とセーブし、チームを救った。

 そうして前半を無失点で切り抜けたことが、リバプールのボルテージをさらに上げることになった。

 バルサの反撃をしのいだリバプールは、さて再びゴールを、とばかりに、ハーフタイムを挟んでサイドからのクロス攻勢を一段と強めた。

【次ページ】 直感を信じたクイックリスタート。

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