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バルサの息の根を止めた5番手FW。
移籍を断りクロップを信じたオリジ。 

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寺沢薫

寺沢薫Kaoru Terasawa

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posted2019/05/08 17:30

バルサの息の根を止めた5番手FW。移籍を断りクロップを信じたオリジ。<Number Web> photograph by AFLO

欠場したサラー、フィルミーノを補って余りある大活躍。オリジはクロップの期待に応えたのだ。

直感を信じたクイックリスタート。

 54分、敵陣の高い位置で一度は奪われたボールをゲーゲンプレスで奪回したトレント・アレクサンダー・アーノルドが右からグラウンダーのクロスを入れると、中盤からゴールに突進してきたジョルジニオ・ワイナルドゥムが右足で合わせて2-0。

さらに2分後には、左からジェルダン・シャキリが入れたクロスに再びワイナルドゥム。今度は頭で合わせて3-0。一気呵成の攻撃で、とうとうリバプールはスコアをタイに戻すことに成功した。

 そして、79分、ドラマが現実になる。右サイドを駆け上がったアレクサンダー・アーノルドが、ボールを相手に当ててCKを獲得する。

 そのままコーナーアークへ向かった彼は、一度は左利きのシャキリとキッカーを交代する素振りを見せたものの、バルサの守備陣がボールから目を離しているのに気付くと一転、「直感を信じて」クイックリスタートで素早く低いクロスをゴール前へと蹴り込んだ。

 そのチャレンジをいち早く感じ取ったオリジが右足で合わせ、ネットを揺らしたのだ。

 バルサ側の集中力の欠如、そう言ってしまえばそれまでだが、クロップでさえ「ボールがネットを揺らしたのは見たが、誰がCKを蹴ったのか、誰がゴールしたのかは見ていなかった」という。この日、ピッチに立った選手の中で最も若い20歳が見せたインテリジェンス、アイデア、豪胆さが、歴史に残る大きなゴールを生んだのだ。

 これで2試合トータル4-3。1失点でも許せばアウェーゴール差で再び敗退の危機に追い込まれるリバプールだったが、最後まで集中してメッシに、スアレスに仕事をさせずクリーンシートを達成し、不可能と言われたミッションをやり遂げたのだった。

サラー&フィルミーノの代役以上。

 好守連発のGKアリソン、アンドリュー・ロバートソンの負傷というアクシデントによる途中出場ながら2ゴールを挙げたワイナルドゥム、さらにその機転をクロップが「天才的」と称えたアレクサンダー・アーノルドも素晴らしかったが、この試合で最大のヒーローを1人挙げるなら、オリジだろう。

 サラーとフィルミーノが欠場したなかで彼らの代役を担い、オンターゲットのシュート2本でチームを勢いに乗せる先制点と、逆転劇を締める決勝ゴールの2つを決めたのだから。

【次ページ】 クロップが目をかけた才能。

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