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トップ4陥落のマンUに望むのは、
不用品とプライドを捨てる勇気。
posted2019/05/09 15:00
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph by
Uniphoto Press
5月5日、マンチェスター・ユナイテッドの2018-19シーズンが事実上、幕を閉じた──。
勝てば最終節にチャンピオンズリーグ出場権の希望をつなげられた試合。すでにプレミアリーグからの降格が決まり、闘う目的すら失っていたハダーズフィールドが相手だったにもかかわらず、GKダビド・デヘアの好守が目立つ1-1の引き分け。またしても醜態をさらした。
最終節のカーディフ戦に勝利を収めたとしてもチェルシー、トッテナムに及ばないことが決定し、ユナイテッドは3シーズンぶりにチャンピオンズリーグの出場権を失った。リバプールとマンチェスター・シティにつけられた大差に、背筋が凍りついた。今夏の補強にも、大きなダメージを及ぼすに違いない。
サー・アレックス・ファーガソン退任後、ユナイテッドの補強はことごとく失敗に終わっている。アレクシス・サンチェス、アンヘル・ディマリア(現パリ・サンジェルマン)、ラダメル・ファルカオ(現モナコ)など、サポーターの信頼を勝ち取ってしかるべき実力者たちはコンディショニングすらままならず、クラブに迷惑をかけるばかりだった。
明らかな成功例はアンデル・エレーラとルーク・ショーだけだ。
エラーが増えたデヘアは売り時か。
この事実を踏まえても、夏の補強には疑問符が付く。いや、その前に不用品を一掃すべきである。成長が望めないクリス・スモーリング、フィル・ジョーンズ、マルコス・ロホ、劣化が著しいネマニャ・マティッチ、アントニオ・バレンシア、ケガとの戦いで心が折れてしまったサンチェスは、来シーズンの戦力として期待できない。
さて、デヘアはそろそろ売りどきだ。今シーズンは失点につながる粗悪なミスが4回を数えている。昨シーズンまでの7年間で、致命的なエラーはわずか6回だったのだが……。
動体視力に異常を来たしているのか、心ここにあらずなのか。契約延長交渉が物別れに終わった際は必要以上に時間をかけず、快く送り出した方がいい。デヘアの後釜が簡単に見つかるとは思えないが、十分すぎるほどユナイテッドに尽くした。別れるのならお互い綺麗に──。恨みつらみは聞きたくない。